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磨かれた銅は、赤味を帯びた美しい光沢を呈しているが、そのまま放置すると徐々に変色し、光沢もなくなってしまう。このため銅の光沢をそのまま装飾に利用することは極めて難しく、何らかのコーティングを施すか、あるいは酸化皮膜や硫化物皮膜を生成させて用いている。 銅メッキの場合も、これがそのまま使用されることは極めて少なく、次に述べるように、銅の種々の特長を活かしながら、ほかのメッキや表面処理と組合せて広い用途に用いられている。 銅メッキ浴は、種類により素材との密着性が優れている。素材の欠陥を埋める修復作用があり、また光沢・平滑化作用が大きく、均一電着性高く、メッキ速度が高いなど多くの特長がある。 また、銅メッキ皮膜は、軟らかく延展性があるため加工性に優れ、ピンホールが少ない、電導性が高い、表面が活性化しやすい、比較的容易に薬品で溶解できるなど利用しやすい性質を持っている。 銅メッキは下地メッキとして広く使われており、鉄素材へのメッキは一ころより少なくなったが、亜鉛ダイカスト、黄鋼など金属部品の外観や耐食性を高めるために効果がある。ただし、防食用メッキの場合には、ピンホールなどの少ない銅メッキが必要で、皮膜に欠陥があり、素材が露出すると電池作用でかえって素材の腐食を促進させる。 銅メッキは、プラスチック素材への下地メッキとして欠かせない。素地の平滑化、耐食性向上のほか、耐熱衝撃性や強度を高めるのに役立つ。銅メッキの厚みは、数ミクロンから数十ミクロンの範囲で施されるが、近年盛んになりつつあるいわゆるエンジニアリングプラスチックでは、15〜35ミクロンとやや厚い方がよい。 工業用銅メッキとしては、電鋳、浸炭防止、印刷用ロールシリンダーメッキなどがあげれる。これらはいずれも銅の特性を活かしたものである。 プリント基板の製造には電解銅箱や基板上への銅メッキが重要な役割を果している。 銅メッキを施した薄物銅板や鋼線が販売され、プレス加工品などの素材として用いられたり、プラスチック素材に銅メッキをつけ、屋根茸き用の銅板や雨樋いなどの建材として用いられている。銅メッキのあと表面を硫化物で処理し、独得のアンティーク調を出した金具を家具・調度類に採用するのは、銅メッキを単独で装飾用に使う数少ない例である。 |
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