7.オーニングテント、軒出しテント、
装飾用テント


(1)オーニングテント

 オーニングテント(日除けテント)は、日射の遮蔽を目的としたテントで、従来のスダレに代わるオーニング(awning)ともいえる。オーニングは窓面など開口部の外部に取り付けられることにより、直射日光を遮蔽し、またテントが吸収した熱のほとんどを対流によって直接外気に放出するので、室温の上昇を防ぐのに大きな効果を示す。
 このオーニングテントが、国内で本格的に販売されるようになって、日除け、雨除けの効果ばかりでなく、店舗等建築物の「顔」ともいえる看板的要素、ファッショナブルに店舗の外観を彩ることなどの有利性から、レストラン、ブティック、カフェテラスなど店舗を中心に普及するようになった。
 オーニングテントの種類を大別すると「手動式」と「電動式」の2つのタイプに分けられる。

1.オーニングテントの特徴

(a)省エネ商品であること

 早稲田大学理工学部木材研究室『オーニング日射遮蔽効果に関する研究報告書』の実験データ(資料提供:オーニング協会)によると、日除けも何もしないガラス窓のある部屋と、窓の外側にオーニングテントを設置した部屋との比較は、クーラーの電気代が3分の1ですむという結果が出た。また、冬は巻き取ることにより太陽エネルギーを部屋いっぱい取り入れることで、暖房の節約が可能となる。

(b)イメージアップに貢献

 高デザイン、豊かな色彩と柄のキャンパス地、アルミの美しさで建物(店舗)のイメージアップに役立つ。

(c)電動式で操作が簡単

 電動式であるため、老人、女性、子供と誰にでも簡単に操作できる。

(d)巻取り式で出し入れが簡単

 巻取り式であるため、日差しの方向、雨の状況などに合わせ出し入れが簡単にできる。

(e)人通りの多い店舗にも適合

 アームが通行の妨げにならないように設計されているため、人通りの多い道路に面した店舗に適している。

(f)耐久性に優れ経済的

 フレームにアルミと合金を使用しているため、防錆力に優れ、いつまでも美観を損なわない。従ってキャンバスを取替えることで長期にわたって使用でき、経済的である。

2.オーニングの種類

 可動式のオーニングテントには、アーム支持の巻上方式(ロールオーニング)、垂直型巻取方式(ロールスクリーン)、可動型幌式(フードオーニング)及び可動型軒建方式などのタイプがある。

(a)ロールオーニング

 ロールオーニングの構造は図1.2-14のとおりで、スプリング内蔵式折りたたみアームを用い、手動及び電動で可動する。アームの付加力により布シャフトとフロントバーに装着されたキャンバスは常に展張される状態にあり、手動ギア及び電動モーターの可動により展張及び巻上収納をする。
 キャンバスは下向きの傾斜状態で使用するのが基本的で、その角度は15゜〜30゜が標準であるが、機能としては45゜程度まで調節可能なものが一般的である。
 アームは規格化されているので出幅は限定されるが、間口については自由度がある。


ロールオーニングの構造


ロールオーニング方式のオーニングテント

ロールオーニング方式のオーニングテント


(b)外付けロールスクリーン

 外付けロールスクリーンは、建築物の窓等採光部の外部に設置し、布シャフトとウェイトバーとに装着されたキャンバスを、ウェイトバーとキャンバスの自重を利用してキャンバスを下げ降ろす仕組で、構造は図1.2-15のとおりである。
 地域によっては、両サイドにガイド材を設置し、ウェイトバーと連結して風対策とすることもある。
 手動ギア・チェーン・電動モーター等で制御され、その可動によりキャンバスの下降及び巻取収納をする。
 使用範囲は、間口・高さ及び面積で設定されている。


外付けロールスクリーンの構造

(c)フードオーニング

 フードオーニングは、フレームとこれを包み込むよう覆われたキャンバスで構成され、先端のフレームをロープ等で可動し、キャンバスを展張及び収納して使用する。
 展張時は図1.2-16のように幌形状となり、収納時はフレームとフレームの間にキャンバスが折りたたまれた蛇腹状になる。


フードオーニングの構造


フードオーニング方式のオーニングテント

(2)軒出しテント

 軒出しテントは、既設建物に付随する日除け用、雨除け用テントである。軒出しテントには可動式と固定式がある。従来から軒先に庇(ひさし)用として設置されることから、比較的に勾配がゆるく、またテントの出幅も当然限定される。まさに日除け、雨除け用として実用的なものであったが、建物の形状、外観、周囲の環境などの変化から、これらに見合った形態や色彩が、部分的にも全体的にも工夫されるようになった。
 軒出しテントの格納方式による可動型のものは、アーム支持による巻上式テント、軸組み支持による幌式テント、その他伸縮型などがある。また格納方法としては、ロープやチェーンによる手動巻上などがあるが、最近では電動式のものも多く利用されている。
 庇用としての固定型の軒出しテントは、軒高の関係上、可動型のものよりも出幅制限があり、また形態においても限定される。出幅が大きくなれば、支持方法としての方丈杖材、吊り材などを補強する必要がある。なかには棟高くし、支柱支持などによる軒出し幅の大きいものもあるが、当局の許可を必要とする場合がある。
 軒出しテントの形状例が、次章の図2.1-1に示されている。

(3)装飾用テント

 装飾用テントは、近代の商店建築のニーズに応え、軒出しテントから発展してきたデザイン化されたテントである。装飾用テントも日除け・雨除け用などの実用に供されるものもあるが、それ以上に装飾性と看板性を強調している。
 構造は、壁面や開口面を形成するもの、また部分的には玄関やウインド面を形成するものがある。
 形態については、単一平面の組合せ、曲面のもの、そして平面と曲面を組合せたものなどいろいろある。
 既設建物の外観や顧客の好み、業種のイメージアップなどに合わせテントの形態・色彩・レタリングを選ぶ必要がある。この形態・色彩・レタリングが装飾用テントの三大要素であり、これがほど良く調和してはじめて顧客の満足を得るプランとなる。
 また、容易に設計変更に応じることができるので便利である。
 装飾用テントの仕上げは、取付けに際してシワやヒキツレなどが生じないよう、また掛りロープのセット方法についても留意するなど、美的感覚をもって入念に作業を行うことが大切である。
 最近の傾向として、生地の材質向上と色彩の多様化と相まって骨組形態の組合せが単純化しつつあり、明快な構造とシンプルなデザインへと顧客の好みが移行しつつある。またレタリングの効果が大きく、その仕上げによってテント全体のイメージが左右されるので、看板業界に学ぶところが大いにあるものと考えられる。
 商店は店頭が最大の見せ場である。客を引き付けるのは店頭のディスプレイであり、そのディスプレイの中で最大の役割を果たすのが装飾用テントといえよう。


装飾用テントの例