調査レポート
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景気動向調査
 平成18年9月  (平成18年9月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合(うち82名分の集計)に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕9月の特色
◆ 景況感、売上高 回復の動き
◆ 原油高の影響によるコストアップで収益は悪化
  〔 2 〕9月の概況
  当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転8、悪化26でDI値はマイナス18となり、前月のマイナス31に対し、13ポイントの大幅な改善となっている。4ヶ月連続の悪化の後、前月の3ポイントの改善に続き2ヶ月連続の改善となった。改善の要因は、悪化がマイナス37からマイナス26に大幅に減少したことが大きい。

 他の主要な調査項目のDI値は、前月の動向に対し、売上高DI値10ポイントの改善、販売価格DI値4ポイントの悪化、収益状況DI値6ポイント悪化の動きとなった。
 原油高騰に伴う燃料費や石油系材料・資材の価格上昇などによるコスト増が収益を圧迫し、売上の増加が収益改善に結び付きにくい状況が続いている。

 業種別の特徴的なものとしては、概ね前月と同様、一般機械、輸送用機器の堅調に持続していること、建設では厳しい状況が続いていることである。

 コメントによれば、業況の低迷要因として、原油価格上昇による原材料費、燃料費の上昇と価格転嫁難による収益悪化を指摘する意見が多く、また、堅調を持続している機械関係の業種においても、同様の指摘が強まっている。

 前年同月比業況悪化が特に多い業種は、商店街、建設業である。
 前年同月比業況好転業種は、食肉、米菓、金型、電気機械器具、輸送用機器、機械・工具販売、広告美術である。

  主な業種区分の業況概況
食料品
 前年同月比売上は、全般に低調横這い又は減少となった。その中で、米菓は増加となった。米菓は、売上増加等により収益改善の動きが見られるが、全体では、低価格、低収益の厳しい状況が続いている。

繊維・同製品

 前年同月比売上は、織物等川上業種、アパレル関連ともに低調横這いとなった。その中で、毛織物は増加となった。全体では、収益状況、景況感ともに回復はなく、業界は依然、厳しい状況が続いている。

木材・木製品

 前年同月比売上は、製材、銘木で増加、集成材、家具(飛騨地区)、東濃ひのきで低調横這いとなった。戸建木造住宅の建設不振の中、業界は厳しい業況が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチック
 前年同月比売上は、特殊紙、プラスチックで増加、紙加工品、印刷で低調横這い、家庭紙で減少となった。売上が増加した業種においても、原材料の値上げの影響等により収益状況は、逆に悪化するなど、厳しい状況である。

窯業・土石
 前年同月比売上は、全般に低調横這い又は減少となっている。石灰は低調横這い傾向となった。建設資材では、生コンクリート、砂利で低調横這い、砕石で減少となった。全体では、収益状況、景況感に改善傾向は無く、依然厳しい状況が続いている。

機械・金属
 前年同月比売上は、刃物等金属製品(内需)、メッキ、可児工業団地、電気機械器具、輸送用機器で増加、鋳物、刃物等金属製品(輸出)、県金属工業団地、金型で堅調が続いた。業界は、活発な生産活動が続いているが、原材料等の価格上昇が続き、そのコストアップを価格に転嫁できないため、収益を圧迫していることが問題である。

各種物産品

 前年同月比売上は、観光物産品で増加、ギフトで減少となった。ギフトにおいては、依然、強い業況悪化の動きが続いている。

卸売業
 前年同月比売上は、医薬品卸、電設資材卸、機械・工具販売で横這い、陶磁器産地卸で減少となった。堅調に推移している医薬品卸、機械・工具販売を除き厳しい状況が続いている。

小売業
 前年同月比売上は動向が分かれ、石油製品販売、共同店舗(飛騨)で増加、青果販売、家電機器販売、メガネ販売、中古自動車販売、生花販売で低調横這い、水産物商業、共同店舗(東濃)で減少となった。消費需要は、依然低迷を続けており、また、低価格志向、競争激化等の収益圧迫要因も強く、厳しい業況が続いている。

商店街
 前年同月比売上は、低調横這い又は減少となっている。収益状況、景況感の悪化傾向が強く厳しい状況となっている。

サービス業
 前年同月比売上は、全般に低調横這い又は減少となっている。その中で、広告美術は増加となった。全体では、販売価格、収益状況、景況感に動きがなく景況は停滞している。

建設業
 前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いとなっている。土木(岐阜地区、飛騨地区)、土木・建築(羽島地区)においては、主要指標の悪化傾向が特に強く、厳しい状況である。業界は、公共工事の発注量の減少、激しい企業間競争等、厳しい受注状況により収益状況、景況感悪化が続く厳しい状況である。

運輸業
 前年同月比売上は、貨物運送で横這い、軽運送で減少となった。軽運送については、前月に続き主要指標の悪化傾向が強く、厳しい状況となった。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加18、減少23でDI値はマイナス5となり、前月のマイナス15に対し、10ポイントの大幅な改善となっている。
 DI値は、前月の15ポイント改善に続くものであり、2ヶ月連続での大幅な改善の動きとなった。前月の動向との比較では、繊維・同製品等の製造業に広く改善傾向が出ている。
 売上増加が他に比べて多いのは、機械・金属業で、9業種・地域中5業種・地域が増加し、改善となっている。その他の業種で増加となったのは、米菓、毛織物、製材等10業種である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇11、下降12でDI値はマイナス1となり、前月のプラス3に対し、4ポイントの下降の動きとなっている。
 販売価格の上昇した業種は前月より3業種減少し9業種と改善傾向は弱く、先月プラスに転じたDI値は、再びマイナスの値となった。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、食肉、寒天水産、東濃ひのき等9業種である。
 下降業種が特に多いのは、建設業である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転7、悪化38でDI値はマイナス31となり、前月のマイナス25に対し、6ポイントの悪化の動きとなっている。
 原材料価格の高騰の影響により、売上が増加している業種についても収益の改善は見られない業種が多く、容易に収益が改善しない状況が続いている。
 収益状況が好転となったのは、米菓、銘木、輸送用機械等6業種である。
 悪化業種が特に多いのは、食料品、窯業・土石、建設業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転6、悪化18でDI値はマイナス12となり、前月のマイナス19に対し、7ポイントの大幅な改善となったが、依然水面下の状況である。
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