調査レポート
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景気動向調査
 平成18年4月  (平成18年4月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合(うち82名分の集計)に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕4月の特色
◆ 売上高、収益状況のDI値大きく悪化、景況感も後退
◆ 原油・原材料高によるコストアップが拡大
  〔 2 〕4月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転11、悪化29でDI値はマイナス18となり、前月のマイナス16に対し、2ポイントの悪化となっている。
 景況感DI値は、前月までの2ヶ月連続の改善の後、当月再び悪化となるなど、昨年11月以降、改善の足踏み状態が続いている。悪化要因は、悪化業種の増加割合が改善業種の増加割合を上回ったことによるものである。

 他の主要な動向についても、景況感DI値と同様に悪化の動きとなり、それぞれ前月の動向に対し、売上高9ポイント、販売価格3ポイント、収益状況15ポイントの悪化の動きとなった。売上高DI値、収益状況DI値については、前月までの改善の動きとは反対に大きな悪化の動きとなり、今後の動向を注視する必要がある。

 業種別に景況動向を見ると、一般機械、輸送用機器の業種及び、運輸業の業況は引き続き好調であるが、繊維、小売、建設等では引続き厳しい状況となっている。
 コメントの中には、好調な機械関係の業種の中で活発な生産活動による技術者不足、運輸業では取扱量の増加による乗務員不足の指摘がある。また、業況の低迷要因として、公共事業の縮小、原油・原材料高によるコストアップと価格転嫁難、先行き不透明などの指摘が多い。

 前年同月比業況悪化が特に多い業種は、商店街である。
 前年同月比業況好転業種は、縫製、県金属工業団地、金型、機械・工具販売、大垣市商店街、広告美術、建築板金、軽運送である。
  主な業種区分の業況概況
食料品
 前年同月比売上は、全般に低調横這い又は減少となった。収益状況については、低調横這いの牛乳・乳製品を除き全ての業種で悪化、景況感についても回復傾向はなく、依然厳しい業況が続いている。

繊維・同製品
 織物等川上業種では、前年同月比売上で動向が分かれ、ニット工業で増加、撚糸で低調横這い、毛織物、合成繊維織物で減少となった。アパレル関連は、縫製で増加、紳士服で減少となった。縫製については収益状況、景況感の改善の動きがでているが、全体では回復傾向は弱く、厳しい状況が続いている。

木材・木製品
 前年同月比売上は、低調横這い又は減少となっている。その中で、製材は増加となった。東濃ひのきにおいては、主要指標の全てが悪化と厳しい状況。住宅産業の低迷の中、業界は厳しい状況が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチック
 前年同月比売上は低調横這いとなった。その中で、プラスチックは増加となった。売上の増加した、プラスチックにおいても原料高の影響により収益は悪化となる厳しい状況である。
窯業・土石
 陶磁器等では、前年同月比売上は、全般に低調横這いとなっている。石灰は横這いとなった。建設資材の土石では、生コンクリートで増加、砂利、砕石で低調横這いとなった。全体では、収益状況、景況感に改善傾向は無く、依然厳しい状況が続いている。

機械・金属
 前年同月比売上は、刃物等金属製品(内需)、メッキ、県金属工業団地、金型、電気機械器具、輸送用機器で増加、鋳物、刃物等金属製品(輸出)、可児工業団地で横這いとなった。業界は、引続き需要回復、景況改善の傾向にある。懸念材料は、原材料等の価格上昇の影響により収益の回復力が弱いことである。

各種物産品

 前年同月比売上は、観光物産品で低調横這い、ギフトで減少となった。ギフトにおいては、依然、強い業況悪化の動きが続いている。

卸売業
 前年同月比売上は、医薬品卸で増加、陶磁器産地卸で低調横這い、電設資材卸、機械・工具販売で減少となった。医薬品卸、機械・工具販売を除き、全体的に厳しい状況が続いている。
小売業
 前年同月比売上は動向が分かれ、石油製品販売、共同店舗(東濃)で増加、青果販売、水産物商業、家電機器販売、メガネ販売、中古自動車販売で低調横這い、共同店舗(飛騨)、生花販売で減少となった。消費需要は、依然、低迷を続けており、また、低価格志向、競争激化等の収益圧迫要因も強く、厳しい業況が続いている。

商店街
 前年同月比売上は、全般に減少となっている。その中で、大垣市は増加となり緩やかな景気回復の兆候がみられるが、他は収益状況、景況感の回復感は弱く、厳しい状況である。

サービス業
 前年同月比売上は動向が分かれ、広告美術、理容・美容業で増加、自動車車体整備、高山旅館、情報サービス業、飲食業、ビルメンテナンスで低調横這い、自動車タイヤ整備、長良川畔旅館、下呂温泉、クリーニング、映像制作で減少となった。全体の景況は、一部に販売価格が上昇した業種も見られるが、全体では、販売価格、収益状況の回復傾向も弱く、景況は依然厳しい状況が続いている。

建設業
 前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いとなっている。土木(岐阜地区、飛騨地区)、土木・建築(羽島地区)においては、主要指標の悪化傾向が特に強く厳しい状況である。年度初めの公共工事端境期、低水準の受注状況のため、公共工事の早期発注の強い要望が出ている。

運輸業
 前年同月比売上は、6ヶ月連続で貨物運送、軽運送ともに増加となった。軽運送については、先月に続き収益状況も増加となるなど、堅調に推移している。しかし、燃料費の高騰が問題である。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加23、減少35でDI値はマイナス12となり、前月のマイナス3に対し、9ポイントの大幅な悪化となっている。
 DI値は、前月まで2ヶ月連続での改善の動きであったが、今回は、サービス業を中心に反対に大幅な悪化となるなど、今後の推移を見守る必要がある。
 売上増加業種が他に比べて多いのは、機械・金属業、運輸業である。その他、業種で増加となったのは、ニット工業、縫製、製材等13業種である。
 減少業種が多いのは、商店街である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇9、低下17でDI値はマイナス8となり、前月のマイナス5に対し、3ポイントの悪化の動きとなっている。
 販売価格の上昇した業種は前月より3業種減少し7業種と改善傾向は弱く、DI値も2ヶ月連続で減少傾向となっている。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、食肉、寒天水産、縫製等7業種である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転13、悪化44でDI値はマイナス31となり、前月のマイナス16に対し、15ポイントの大幅な悪化の動きとなっている。
 DI値は、売上動向と同様に不安定な動きをしている。また、DI値の水準は、再びマイナス30ポイント台の強いマイナスの値となるなど、極めて強い悪化傾向となっている。
 収益状況が好転となったのは、縫製、製材、県金属工業団地、金型等11業種である。
 悪化業種が多いのは、食料品、商店街、建設業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転6、悪化18でDI値はマイナス12となり、前月のマイナス9に対し、3ポイントの悪化となり、今後の推移が懸念される。特に、商店街で悪化傾向が強い。
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