調査レポート
景況動向調査
各種調査
もどる
景気動向調査
 平成17年11月  (平成17年11月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕11月の特色
◆ 景況感は緩やかな改善傾向を持続
◆ 資金繰りDI値が大きく下降、原材料価格の上昇の影響が大
  〔 2 〕11月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転11、悪化25でDI値はマイナス14となり、前月のマイナス17に対し、3ポイントの改善となっている。

 景況感DI値は、7ヶ月連続で改善するなど、緩やかな改善傾向が続いている。改善の要因は、好転の増加ではなく、悪化から不変への変化によるものである。

 他の主要な動向については、それぞれ前月の動向に対し、売上高DI値9ポイントの大幅な改善、販売価格DI値2ポイントの悪化、収益状況DI値1ポイント改善の動きとなった。

 販売価格DI値の悪化要因は、悪化の増加ではなく、好転から不変への変化によるものである。

 収益状況DI値は若干の改善で概ね横這いの動きとなっている。景況感DI値と同様に、悪化から不変への変化によるものが大きく、また、依然マイナス28と大きなマイナス水準にある。原油・原材料価格の高騰等が収益を圧迫し、売上の増加が収益改善に結び付かない状況になっている。
 また、資金繰りは、この3ヶ月改善の傾向にあったが、当月は、反対に悪化に転じている。

 コメントの中には、金型、機械関係の業種等に引き続き業況は好調との声がある一方、他の業種では、公共事業の縮小、原油・原材料価格の高騰、低価格など厳しい経営環境を指摘するとともに、先行き不安など企業マインドの低下を指摘する意見も少なくない。

 前年同月比業況悪化が特に多い業種は、卸売業、建設業である。

 前年同月比業況好転業種は、食肉、メッキ、県金属工業団地、金型、輸送用機器、機械・工具販売、大垣市商店街、高山旅館、軽運送である。
  主な業種区分の業況概況
食料品
 前年同月比売上は、動向が分かれ食肉、寒天水産で増加、牛乳・乳製品、豆腐、製麺で低調横這い、菓子、米菓で減少となった。売上増加となった業種においても収益状況に改善傾向は無く、反対に悪化している業種があるなど依然厳しい業況が続いている。

繊維・同製品
 織物等川上業種では、前年同月比売上は、減少又は低調横這いとなった。アパレル関連は、紳士服で増加、縫製で低調横這いとなった。全体では、収益状況、景況感ともに回復はなく、業界は依然、厳しい状況が続いている。

木材・木製品
 前年同月比売上は、製材、家具(飛騨地区)で増加、集成材、東濃ひのきで低調横這い、銘木で減少となった。住宅産業の低迷の中、業界は依然厳しい業況が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチック
 前年同月比売上はプラスチックで増加、特殊紙、印刷で低調横這い、家庭紙、紙加工品で減少となった。売上が増加したプラスチックにおいても原材料の大幅な値上げが実施されたため、今後の動向を懸念している。

窯業・土石
 前年同月比売上は、全般に低調横這いとなっている。その中で、陶磁器(輸出)は増加となった。また、石灰は増加傾向となった。建設資材の土石では、全業種で減少となった。全体では、収益状況、景況感に改善傾向が無いなど厳しい状況が続いている。

機械・金属
 前年同月比売上は、鋳物、刃物等金属製品(内需)、メッキ、県金属工業団地、可児工業団地、輸送用機器で増加、金型で堅調推移、刃物等金属製品(輸出)、電気機械器具で低調横這いとなった。業界は、需要回復傾向にあるが、原油価格、原材料等の上昇分を全て販売価格へ転嫁できないため、収益の伸びが弱い状況にある。

各種物産品
 前年同月比売上は、観光物産品で低調横這い、ギフトで減少となった。全体に主要指標の改善傾向はなく厳しい業況が続いている。

卸売業
 前年同月比売上は、機械・工具販売で増加、電設資材卸で低調横這い、総合卸売(飛騨)、陶磁器産地卸で減少となった。消費需要の低迷が続く中、全体的に厳しい状況が続いている。その中で、機械・工具販売は堅調に推移している。

小売業
 前年同月比売上は動向が分かれ、石油製品販売、共同店舗(東濃)で増加、水産物商業、家電機器販売、中古自動車販売で低調横這い、青果販売、メガネ販売、共同店舗(飛騨)、生花販売で減少となった。業界は、消費需要の低迷、低価格志向、企業間競争等の収益圧迫要因も強く、厳しい業況が続いている。

商店街
 前年同月比売上は、全般に低調横這い又は減少となっている。その中で、大垣市は増加となった。イベント効果等により来街者の増加傾向が出ている商店街もあるが、全般に収益状況、景況感の回復感は弱く、厳しい状況である。

サービス業
前年同月比売上は動向が分かれ、自動車車体整備、高山旅館、クリーニング、理容・美容業で増加、自動車タイヤ整備、下呂温泉、広告美術、情報サービス業、映像制作、飲食業、ビルメンテナンスで低調横這い、長良川畔旅館で減少となった。一部に販売価格の上昇した業種も見られるが、全体では横這い傾向であり、収益状況の改善も見られないなど、業況は依然厳しい状況が続いている。

建設業
 前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いとなっている。その中で、木製建具については増加となった。土木(岐阜地区、飛騨地区)、土木・建築(羽島地区)において、主要指標の悪化傾向が強く厳しい状況が続いている。業界は、公共工事の発注量の減少、厳しい受注状況等により収益状況、景況感悪化が続き、資金繰りも悪化傾向が強まっている。

運輸業
 前年同月比売上が軽運送、貨物運送ともに増加となった。貨物運送は、組合員の増加により、前月に続き取扱量も増加となった。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加30、減少30でDI値は0となり、前月のマイナス9に対し、9ポイントの改善の動きとなっている。
 DI値は、8月以降一進一退の状況が続いており、今回は、前月の大幅な減少の動きとは反対に、大きな改善の動きとなった。
 前年同月比売上増加となったのは、食肉、寒天水産、紳士服、製材、家具(飛騨地区)、プラスチック、陶磁器(輸出)、石灰、機械・工具販売、石油製品販売、共同店舗(東濃)、大垣市商店街、自動車車体整備、高山旅館、クリーニング、理容・美容業、木製建具である。
 売上増加業種が特に多いのは機械・金属、運送業である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇10、下降13でDI値はマイナス3となり、前月のマイナス1に対し、2ポイントの悪化の動きとなっている。
 前月まで、4ヶ月連続での緩やかな改善の動きであったが、今回は、反対に下降の動きとなった。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、食肉、寒天水産、プラスチック、生コンクリート、鋳物、機械・工具販売、石油製品販売、自動車タイヤ整備である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転7、悪化35でDI値はマイナス28となり、前月のマイナス29に対し、1ポイントの改善の動きとなっている。
 DI値は、緩やかな改善傾向が見られるが依然強いマイナスの値であり、また、改善の要因は、悪化から不変への変化によるものが大きいなど厳しい状況が続いている。
 収益状況が好転となったのは、県金属工業団地、可児工業団地、輸送用機器、機械・工具販売、大垣市商店街、軽運送である。
 悪化業種が特に多いのは、食料品、卸売業、建設業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転3、悪化24でDI値はマイナス21となり、前月のマイナス12に対し、9ポイントの大幅な悪化であり、非常に厳しい状況である。特に、建設業で悪化傾向が強い。
[景況グラフを開く]

▲ページ上へもどる