調査レポート
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景気動向調査
 平成17年9月  (平成17年9月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕9月の特色
◆ 景況停滞感、先行き不透明感強まる
◆ 原油・原材料価格の上昇により収益悪化
  〔 2 〕9月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転8、悪化26でDI値はマイナス18となり、前月のマイナス19に対し1ポイントの改善となっている。

 景況感DI値は、5ヶ月連続の改善の動きとなった。改善の要因は、好転の増加ではなく、悪化から不変への変化によるものである。

 他の主要な動向についても改善が見られた。売上高については、前月より6ポイント改善し、17ヶ月振りにプラスの値となった。販売価格については、6ポイントの改善の動きとなった。

 しかし、収益状況については前月より5ポイント悪化となるなど、原油・原材料価格の高騰が収益を圧迫し、売上の増加が収益改善に結び付かない厳しい状況にある。

 このため、企業経営の厳しさは変わらず、また、先行き不透明感も依然強い。

 引続き、金型、機械関係等の業種に出ている業況回復の動き、愛知万博の効果により旅館等が好調な業績を続けているなど、一部業種の明るい動きは変わらないが、多くの業種は、需要低迷、企業間競争の激化、販売価格の低迷、低収益の厳しい状態が続いている。

 また、機械関係の業種等に引き続き業況は好調との声がある一方、公共事業の縮小や消費の低迷、原油・原材料価格の高騰によるコストアップ、製品価格への転嫁難による収益悪化、先行き不安など企業マインドの低下を指摘する意見が増えており、中小企業の景況の実感は依然厳しく、今後の景気動向には十分な警戒が必要である。

 前年同月比業況悪化が特に多い業種は、各種物産品、商店街、建設業である。

 前年同月比業況好転業種は、食肉、メッキ、県金属工業団地、金型、機械・工具販売、長良川畔旅館、広告美術である。
  主な業種区分の業況概況
食料品
前年同月比売上は、動向が分かれ食肉、米菓、寒天水産で増加、牛乳・乳製品、豆腐で低調横這い、菓子、製麺で減少となった。収益状況については、低調横這いの牛乳・乳製品を除き、全て悪化となるなど、依然厳しい業況が続いている。

繊維・同製品
前年同月比売上は、織物等川上業種、アパレル関連共に、減少又は低調横這いとなった。全体では、収益状況、景況感ともに回復はなく、業界は依然、厳しい状況が続いている。

木材・木製品
前年同月比売上は、低調横這い又は減少となっている。その中で、家具(飛騨地区)は増加となった。住宅産業の低迷の中、業界は依然厳しい状況が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチック
前年同月比売上は、動向が分かれ特殊紙、プラスチックで増加、家庭紙、印刷は低調横這い、紙加工品は減少となった。売上が増加したプラスチックにおいても原材料の値上げ要請が続いており、今後の動向が懸念される。

窯業・土石
陶磁器等では、前年同月比売上は、全般に低調横這い又は減少となっている。その中で、陶磁器(輸出)は増加となった。また、石灰については堅調な動きが続いている。建設資材の土石では、砕石で低調横這い、生コンクリート、砂利で減少となった。全体では、収益状況、景況感に改善傾向は無く、依然厳しい状況が続いている。

機械・金属
刃物等金属製品(内需)メッキ、県金属工業団地、金型、輸送用機器で増加、鋳物、刃物等金属製品(輸出)、電気機械器具で低調横這い、可児工業団地で減少となった。業界は、需要回復傾向にあるが、原材料、原油の高騰のため収益が伸びず、景況感の回復も弱い状況である。

各種物産品
前年同月比売上は、ギフトで低調横這い、観光物産で減少となった。全体に主要指標の改善傾向はなく、景況感は全業種で悪化となるなど厳しい業況が続いている。

卸売業
前年同月比売上は、機械・工具販売で増加、総合卸売(飛騨)、陶磁器産地卸で低調横這い、電設資材卸で減少となった。消費需要の低迷により全体的に厳しい状況が続いている。その中で、機械・工具販売は堅調に推移している。

小売業
前年同月比売上は動向が分かれ、石油製品販売、共同店舗(東濃)で増加、青果販売、水産物商業、メガネ販売、中古自動車販売、生花販売で低調横這い、家電機器販売、共同店舗(飛騨)で減少となった。業界は、消費需要の低迷、低価格志向、企業間競争等の収益圧迫要因も強く、厳しい業況が続いている。

商店街
前年同月比売上は、低調横這い又は減少となっている。収益状況、景況感に悪化傾向が強く厳しい状況となっている。

サービス業
前年同月比売上は動向が分かれ、自動車車体整備、長良川畔旅館、下呂温泉、広告美術、飲食業で増加、自動車タイヤ整備、高山旅館、クリーニング、情報サービス業、ビルメンテナンス、理容・美容業で低調横這い、映像制作で減少となった。全体的に需要停滞の中、景況は依然厳しい状況である。長良川畔旅館、下呂温泉、飲食業については、愛知万博の効果により需要増加となった。

建設業
前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いとなっている。また、土木(岐阜地区、飛騨地区)において、主要指標が全て悪化となる厳しい状況が続いている。業界は、公共工事の発注量の減少、発注単価の減少など厳しい受注状況により業況悪化が続いている。また、資金繰りも依然厳しい状況である。

運輸業
前年同月比売上について、軽運送、貨物運送ともに増加となった。しかし、燃料価格の高騰により収益状況は厳しい状況である。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加27、減少26でDI値はプラス1となり、前月のマイナス5に対し、6ポイントの改善の動きとなっている。
 売上動向のDI値は、昨年4月以来、17ヶ月振りにプラスとなる大きな改善の動きとなった。
 前年同月比売上増加となったのは、食肉、米菓、寒天水産、家具(飛騨地区)、特殊紙、プラスチック、陶磁器(輸出)、石灰、機械・工具販売、石油製品販売、共同店舗(東濃)、自動車車体整備、観光旅館(長良川畔、下呂温泉)、広告美術、飲食業である。
 売上増加業種が特に多いのは機械・金属、運送業である。
 減少業種が特に多いのは、商店街である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇12、下降18でDI値はマイナス6となり、前月のマイナス12に対し、6ポイントの改善の動きとなっている。
 販売価格の上昇した業種は前月より1業種減少し10業種となったが、全般にマイナス幅の下降業種も減少しているために大きな改善の動きとなった。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、食肉、寒天水産、銘木、プラスチック、生コンクリート、鋳物、金型、機械・工具販売、石油製品販売、自動車タイヤ整備である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転6、悪化37でDI値はマイナス31となり、前月のマイナス26に対し、5ポイントの悪化の動きとなっている。
 DI値は、3ヶ月連続で緩やかな改善の動きの後、当月再びマイナス30ポイント台となり強い悪化傾向となった。
 収益状況が好転となったのは、プラスチック、金型、機械・工具販売、長良川畔旅館、広告美術である。
 悪化業種が特に多いのは、食料品、商店街、建設業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転6、悪化19でDI値はマイナス13となり、前月のマイナス16に対し、3ポイントの改善ではあるが、依然、厳しい状況である。特に、商店街で悪化傾向が強い。
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