調査レポート
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景気動向調査
 平成17年6月  (平成17年6月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕6月の特色
◆ 景況停滞感が続く
◆ 原材料、原油高等のコスト増から先行き不透明感強まる
  〔 2 〕6月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転7ポイント、悪化32ポイントでDI値はマイナス25ポイントとなり、前月のマイナス26ポイントに対し、1ポイントの改善となっている。

 景況感DI値は、4月以降、一進一退の状況が続いており、当月は先月の大幅な改善に続き、概ね横這いの緩やかな改善の動きとなっている。

 改善の要因は、好転の増加ではなく、悪化から不変への変化によるものである。また、景況感DI値は、依然低水準であり中小企業の景況は停滞感が根強く厳しい状況にある。

 他の主要な動向については、前月のDI値に対し改善の動きとなり、売上高7ポイント、収益状況9ポイントの改善の動きとなった。

 しかし、売上高DI値、収益状況DI値ともに水面下での改善であり、また、改善の要因は景況感DI値と同様に、悪化から不変への変化による要因が大きい。

 金型、機械関係など一部業種に引き続き業況は好調との声はあるものの、公共事業の縮小や消費の低迷、原材料・原油価格の高騰によるコストアップ、製品価格への転嫁難による収益悪化など厳しい経済環境は変わらず、中小企業の現状は依然厳しい状況にある。

 コメントの中には、万博の予想以上の効果により、旅館等の一部業種で好調という声がある一方、依然として消費の低迷や、公共事業の縮小、原材料・原油価格の高騰によるコストアップにより利益を確保できないなど、先行きに対する不透明感を訴える声が多く出ている。

 前年同月比業況悪化が特に多い業種は、繊維・同製品、窯業・土石、各種物産品、建設業である。

 前年同月比業況好転業種は、食肉、寒天水産、県金属工業団地、金型、機械・工具販売、家電機器販売である。
  主な業種区分の業況概況
食料品
前年同月比売上は、全般に低調横這い又は減少となった。その中で、寒天水産は増加となった。全体では、低価格、低収益の厳しい状況が続き、景況感の改善傾向も弱く、依然厳しい業況が続いている。

繊維・同製品
織物等川上業種では、前年同月比売上は、減少又は低調横這いとなった。アパレル関連は、紳士服で増加、婦人・子供服、縫製で減少となった。全体では、収益状況、景況感ともに悪化傾向が強く、業界は非常に厳しい状況が続いている。

木材・木製品
前年同月比売上は、低調横這い又は減少となっている。その中で、製材は増加となった。住宅産業の低迷の中、業界は依然厳しい状況が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチック
前年同月比売上は低調横這いとなった。その中で、プラスチックで増加となった。プラスチックにおいては、3ヶ月連続して売上増加となった。

窯業・土石
陶磁器等では、前年同月比売上は、全般に低調横這い傾向となっている。その中で、陶磁器(輸出)は増加となった。また、石灰については堅調な動きが続いている。建設資材の土石では、生コンクリートで増加、砕石で減少となった。全体では、収益状況、景況感に悪化傾向が強く、依然厳しい状況が続いている。

機械・金属
前年同月比売上は、鋳物、刃物等金属製品(内需)、メッキ、県金属工業団地、金型で増加、刃物等金属製品(輸出)、電気機械器具、輸送用機器で低調横這い、可児工業団地で減少となった。売上の増加している業種においても収益の回復感は弱く、全体としては、収益の悪化傾向が強まるなど厳しい状況にある。その中で、県金属工業団地、金型は堅調に推移している。

各種物産品
前年同月比売上は、観光で低調横這い、ギフトで減少となった。ギフトにおいては依然、強い業況悪化の動きが続いている。

卸売業
前年同月比売上は、電設資材で増加、総合卸売(飛騨)、陶磁器産地卸で低調横這い、機械・工具販売で減少となった。消費需要低迷が続く中、全体的に厳しい状況が続いている。

小売業
前年同月比売上は、動向が分かれ、家電機器販売、石油製品販売で増加、水産物で低調横這い、青果、メガネ販売、共同店舗(東濃、飛騨)、生花販売で減少となった。業界は、個人消費の低迷が続く苦しい状況が続いている。

商店街
前年同月比売上は、全般に低調横這い又は減少となっている。その中で、大垣市は前月に続き増加となった。前月に続き万博効果により、来街者の増加傾向がでている商店街もあるが、全般に収益状況、景況感の回復感は弱く、厳しい状況である。

サービス業
前年同月比売上は動向が分かれ、自動車車体整備、長良川畔旅館、理容・美容業で増加、自動車タイヤ整備、クリーニング、広告美術、情報サービス業、飲食業で低調横這い、高山旅館、映像制作、ビルメンテナンスで減少となった。長良川畔旅館については、先月に続き万博効果により宿泊客が大幅に増加している。

建設業
前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いとなっている。その中で、木製建具については増加となった。また、土木(岐阜地区、飛騨地区)において、主要指標が全て悪化となる厳しい状況となった。業界は、公共工事の発注量の減少により業況悪化が続いている。

運輸業
前年同月比売上について、軽運送は増加、貨物運送は減少となった。また、収益状況、景況感についても改善傾向は無く、厳しい状況となっている。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加26ポイント、減少33ポイントでDI値はマイナス7ポイントとなり、前月のマイナス14ポイントに対し、7ポイントの改善となっている。
 DI値は、売上動向のDI値は5ヶ月連続の改善の動きとなった。前月の動向との比較では、業種別に見ると、全般に変化が小さい中、繊維・同製品、木材・木製品、機械・金属業に改善傾向が出ている。
 前年同月比売上増加となったのは、寒天水産、紳士服、製材、プラスチック、陶磁器(輸出)、石灰、生コンクリート、電設資材、家電機器販売、石油製品販売、大垣市商店街、自動車車体整備、長良川畔旅館、美容・理容業、木製建具、運送業である。
 売上増加業種が特に多いのは、機械・金属である。
 減少業種が特に多いのは、小売業である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇9ポイント、下降26ポイントでDI値はマイナス17ポイントとなり、前月のマイナス8ポイントに対し、9ポイントの悪化の動きとなっている。
 前月まで、2ヶ月連続での緩やかな改善の動きであったが、今回は、反対に大きな下降の動きとなった。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、食肉、プラスチック、鋳物、金型、機械・工具販売、石油製品販売、土木・建築(羽島地区)である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転8ポイント、悪化35ポイントでDI値はマイナス27ポイントとなり、前月のマイナス36ポイントに対し、9ポイントの大幅な改善の動きとなっている。
 DI値は、緩やかな改善傾向が見られるが、依然強いマイナスの値であり、強い悪化傾向が続いている。
 収益状況が好転となったのは、プラスチック、県金属工業団地、金型、機械・工具販売、大垣市商店街、長良川畔旅館である。
 悪化業種が特に多いのは、繊維・同製品、窯業・土石、建設業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転5ポイント、悪化19ポイントでDI値はマイナス14ポイントとなり、前月のマイナス18ポイントに対し、4ポイントの改善ではあるが、依然、厳しい状況である。特に、建設業で悪化傾向が強い。
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