調査レポート
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景気動向調査
 平成16年6月  (平成16年6月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕6月の特色
◆ 景況感悪化が縮小
◆ 先行き不安感が依然強い
  〔 2 〕6月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転10ポイント、悪化31ポイントでDI値はマイナス21ポイントとなり、前月のマイナス30ポイントに対し、9ポイントの大幅な改善となっている。

 景況感DI値は、昨年11月以降改善傾向が続く持ち直しの動きの後、前月は大幅な悪化となり、当月再び改善の動きとなるなどDI値は一進一退で推移している。

 改善の要因は、食料品、小売業で前月水準よりも好転業種が増加したことがあげられる。

 他の主要な動向についても改善が見られた。販売価格は前月マイナス23ポイントに対しマイナス15ポイント、収益状況は前月マイナス31ポイントに対しマイナス28ポイントに改善した。

 しかし、売上高は逆に前月マイナス17ポイントに対しマイナス21ポイントに悪化するなど、景況は複雑に推移している。

 デジタル家電、自動車関連などの好調に伴い、金型、機械関係など一部業種の需要回復の動きは変わらないが、全体的には、需要低迷、企業間競争激化、低価格販売、収益悪化など厳しい経済環境が続いており、中小企業の現状は依然厳しい状況にある。

 また、コメントの中には、景気の先行きについて回復を期待する声がある一方、公共事業の縮小や、原材料、燃料のコストアップ、製品価格への転嫁難による収益悪化、先行き不安など企業マインドの低下を指摘する意見も多く、中小企業の景況の実感は依然厳しい状況である。

 前年同月比業況悪化業種が特に多いのは、窯業・土石、建設業である。

 前年同月比業況好転業種は、食肉、米菓、鋳物、金型、電気機械器具、機械・工具販売、家電機器販売、共同店舗(東濃)、長良川畔旅館である。

  主な業種区分の業況概況
食料品は、前年同月比売上は、動向が分れ食肉、米菓で増加、牛乳・乳製品で低調横這い、豆腐、菓子、寒天、製麺で減少となった。収益状況については、全般に悪化傾向が強く、売上増加となった業種においても改善はなく、反対に悪化しているなど、依然厳しい業況が続いている。

繊維・同製品は、前年同月比売上は、織物等川上業種、アパレル関連共に減少又は低調横這い傾向となった。全体では、収益状況、景況感ともに回復はなく、業界は非常に厳しい状況が続いている。

木材・木製品は、動向が分かれ製材、銘木で増加、集成材、東濃ひのきで低調横這い、家具(飛騨地区)で減少となった。住宅産業の低迷の中、業界は依然厳しい業況が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前年同月比売上は低調横這い又は減少となった。全般的に、収益、景況感の回復感は弱く低迷状態が続いている。

窯業・土石の陶磁器等では、前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這傾向となった。石灰については堅調に推移している。建設資材の土石では、全業種が減少となった。全体では、収益状況、景況感に悪化傾向が強く、依然厳しい状況が続いている。

機械・金属は、前年同月比売上は、減少となった刃物等金属製品(輸出)を除き全ての業種で増加となった。売上の増加は、9業種中8業種であるが、景況感の改善は、金型、電気機械器具の2業種に留まっており、依然、景況感の回復感は弱く厳しい状況にある。

各種物産品は、前年同月比売上は観光で低調横這い、ギフトで減少となった。ギフトにおいては、依然、強い業況悪化の動きが続いている。

卸売業は、前年同月比売上は、全般に低調横這いとなった。消費需要低迷が続く中、全体的に低迷が続いている。

小売業は、動向が分かれ家電機器販売、共同店舗(東濃)、生花販売で増加、青果、水産物、メガネ販売、石油製品販売で低調横這い、中古自動車販売、共同店舗(飛騨)で減少となっている。全般に消費需要の不振が続き苦しい業況となっている。その中で、家電機器販売は、前月に続きアテネオリンピックの効果等により順調となった。

商店街は、全般に低調横這い又は減少で、低調横這い傾向が強い。全般に収益状況、景況感の悪化傾向は強く、商店街の不況感は依然強いものがある。

サービス業は、前年同月比売上は動向が分かれ、長良川畔旅館、理容・美容業で増加、自動車タイヤ整備、広告美術、映像制作、飲食業で低調横這い、自動車車体整備、下呂温泉旅館、高山旅館、クリーニング、情報サービス業、ビルメンテナンスで減少となった。全体的に需要停滞の中、景況感の改善傾向も見られず厳しい状況が続いている。

建設業は、前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いで減少傾向が強い。土木(岐阜地区、飛騨地区)、土木・建築(羽島地区)において、4ヶ月連続で主要指標が悪化となり厳しい状態が続いている。公共工事の発注量の減少により、業況が悪化している。また、民需も低水準の受注状況が続き、公共工事の早期発注の強い要望が出ている。

運輸業は、前年同月比売上について、県域で低調横這い、軽運送で減少となった。また、収益状況、景況感についても改善傾向は無く、厳しい状況となっている。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加21ポイント、減少41ポイントでDI値はマイナス20ポイントとなり、前月のマイナス17ポイントに対し、3ポイントの減少となっている。
 前月に続き2ヶ月連続での減少となり、DI値は再びマイナス20ポイント台となった。前月の動向と比較し、機械金属は改善の動きとなっているが、全体の改善傾向は弱く、卸売業、運輸業に悪化傾向が強く出ている。
 前年同月比売上増加となったのは、食肉、米菓、製材、銘木、石灰、家電機器販売、共同店舗(東濃)、生花販売、長良川畔旅館、理容・美容業である。
 売上増加業種が特に多いのは、機械金属であり、減少業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、窯業・土石、サービス業、建設業である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇7ポイント、下降22ポイントでDI値はマイナス15ポイントとなり、前月のマイナス23ポイントに対し、8ポイントの大幅な改善の動きとなっている。
 販売価格の上昇した業種は前月より2業種増加し、6業種となったが、依然、DI値の水準は低く、深刻な低価格販売、激しい受注競争が続いていることが窺われる。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、食肉、陶磁器(輸出)、鋳物、石油製品販売、生花販売、自動車タイヤ整備である。
 下降業種が特に多いのは、建設業である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転5ポイント、悪化33ポイントでDI値はマイナス28ポイントとなり、前月のマイナス31ポイントに対し、3ポイントの改善の動きとなっている。
 DI値は、改善が見られるが、依然強いマイナスの値であり、極めて強い悪化傾向が続いている。
 収益状況が好転となったのは、刃物等金属製品(内需)、電気機械器具、共同店舗(東濃)、長良川畔旅館である。
 収益状況の悪化業種が特に多いのは、食料品、窯業・土石、建設業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転4ポイント、悪化21ポイントでDI値はマイナス17ポイントとなり、前月のマイナス21ポイントに対し、4ポイントの改善ではあるが、依然厳しい状況にある。特に、建設業で悪化傾向が強い。
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