調査レポート
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景気動向調査
 平成16年4月  (平成16年4月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕4月の特色
◆ 景況感持ち直し傾向強まる
◆ 収益改善が遅れ、不透明感残る
◆ 売上高DI値プラスへ転じる
  〔 2 〕4月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転11ポイント、悪化30ポイントでDI値はマイナス19ポイントとなり、前月のマイナス31ポイントに対し、12ポイントの大幅な改善となっている。

 平成15年4月のマイナス63ポイントを景気の底とし、その後、大きな傾向として回復が続き、当月のマイナス19ポイントまで回復した。直近3ヶ月は、1月マイナス41ポイント、2月マイナス36ポイント、3月マイナス31ポイント、順調な回復曲線となっている。

 改善の要因には、好転業種が増加し、悪化業種が減少したことによる。好転業種は、前月回答に比べ5ポイント増加、悪化業種は同7ポイント減少した。

 他の主要な動向についても改善が見られた。売上は、前年度同月比による調査を始めた平成12年4月以来初めてプラス値となり、前月マイナス15ポイントに対しプラス2ポイントとなった。収益状況は前月マイナス33ポイントに対しマイナス18ポイント、販売価格は前月マイナス22ポイントに対しマイナス19ポイントに改善した。

 これらの動きから、本県中小企業にも漸く確かな回復の動きが出来たものと推測される。

 回復の動きが、昨年春、金型から始まり、昨年秋から機械関係に動きが出て、これがサービス業にも拡大した形となっている。

 この回復数値の中で懸念されるのは、観光シーズンの季節需要等、一過性の要因を含むものもあることである。

 一方では、深刻な状態が続く建設業、原料高製品安により利益を確保できない業種が依然多いなど、厳しい業況の業種は少なくないこと、収益改善が大きな課題になっていることなどから、県内中小企業には一段と大きな経営努力が必要となっている。

 前年同月比業況悪化業種が特に多いのは、窯業・土石である。

 前年同月比業況好転業種は、食肉、米菓、金型、電気機械器具、観光物産品、機械・工具販売、生花販売、長良川畔旅館、広告美術である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、前年同月比売上は、動向が分れ食肉、米菓で増加、味噌・醤油、豆腐、菓子、製麺で低調横這い、寒天で減少となった。収益状況については、全般に悪化傾向が強く、売上増加となった業種においても改善はなく、反対に悪化しているなど、依然厳しい業況が続いている。

繊維・同製品は、前年同月比売上は、織物等川上業種、アパレル関連共に減少又は低調横這いで低調横這い傾向が強い。その中で、紳士服は増加となっている。全体では、収益状況、景況感ともに回復はなく、業界は非常に厳しい状況が続いている。

木材・木製品は、動向が分かれ製材、銘木で増加、集成材で低調横這い、東濃ひのきで減少となった。東濃ひのきについては、3ヶ月連続で主要指標が全て悪化となるなど厳しい状況が続いている。その中で、製材においては、プレカット需要を中心に堅調に推移している。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前年同月比売上は減少又は低調横這いとなった。収益状況、景況感の回復感は弱く、全般的に低迷状態が続いている。

窯業・土石の陶磁器等では、全般に減少又は低調横這いで、減少傾向が強い。建設資材の土石では、生コンクリート、砕石で増加、砂利で低調横這いとなった。全体では、収益状況の回復は無く、景況感も悪化傾向が強く、依然厳しい状況が続いている。

機械・金属は、前年同月比売上は動向が分れ、刃物等金属製品(内需)、メッキ、県金属工業団地、金型、電気機械器具、輸送用機器で増加、鋳物で低調横這い、刃物等金属製品(輸出)、可児工業団地で減少となった。売上の増加は、9業種中6業種であるが、景況感の改善は、金型、電気機械器具の2業種に留まっており、依然、景況感の回復感は弱く厳しい状況にある。

各種物産品は、前年同月比売上は観光で低調横這い、ギフトで減少となった。ギフトにおいては、依然、強い業況悪化の動きが続いている。

卸売業は、陶磁器産地卸、機械・工具販売で増加、総合卸売(飛騨)で低調横這い、電設資材で減少となった。消費需要低迷が続く中、全体的に低迷が続いている。その中で、機械・工具販売は堅調に推移している。

小売業は、動向が分かれメガネ販売、生花販売で増加、水産物、家電機器販売、石油製品販売、共同店舗(東濃)で低調横這い、青果、共同店舗(飛騨)で減少となっている。全般に消費需要の不振が続き苦しい業況が続いている。その中で、例年より季節需要が働いた生花販売は、前月に続き順調であった。

商店街は、全般に低調横這い又は減少で、低調横這い傾向が強い。全般に収益状況、景況感の悪化傾向は強く、商店街の不況感は依然強い。

サービス業は、前年同月比売上は動向が分かれ、自動車タイヤ整備、長良川畔旅館、クリーニング広告美術、理容・美容業で増加、自動車車体整備、高山旅館、映像制作、飲食業で低調横這い、下呂温泉旅館、情報サービス業、ビルメンテナンスで減少となった。全体的に需要停滞の中、景況は厳しい状況が続いている。

建設業は、前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いで、減少傾向が強い。その中で、木製建具は増加となった。また、土木(岐阜地区、飛騨地区)、土木・建築(羽島地区)において、前月に続き、主要指標の全てが悪化となり厳しい状態が続いている。年度初めの公共工事端境期、民需の低迷、低水準の受注状況のため、公共工事の早期発注の強い要望が出ている。

運輸業は、前年同月比売上について、県域、軽運送ともに増加となった。軽運送は、売上、収益ともに増加となった。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加31ポイント、減少29ポイントでDI値はプラス2ポイントとなり、前月のマイナス15ポイントに対し、17ポイントの大幅な改善となっている。
 売上動向のDI値は、平成12年4月からの前年同月比での調査となって以来初めてプラスに転じる大きな改善の動きとなった。前月の動向との比較では、食料品、窯業、サービス業、運輸業に改善傾向が出ている。
 前年同月比売上増加となったのは、食肉、米菓、メンズアパレル、製材、銘木、生コンクリート、砕石、陶磁器販売卸、機械・工具販売、メガネ販売、生花販売、自動車タイヤ整備、長良川畔旅館、クリーニング、広告美術、理容・美容、木製建具である。
 売上増加業種が特に多いのは、機械金属、運輸業である。
 減少業種が特に多いのは、紙・紙加工品、建設業である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇5ポイント、下降24ポイントでDI値はマイナス19ポイントとなり、前月のマイナス22ポイントに対し、3ポイントの改善の動きとなっている。
 販売価格の上昇した業種は前月より1業種減少し4業種となったが、全般にマイナス幅の下降業種も減少しているために改善の動きとなった。依然、販売価格の改善傾向は弱く、深刻な低価格販売、激しい受注競争が続いていることが窺われる。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、食肉、陶磁器(輸出)、石油製品販売、生花販売である。
 下降業種が特に多いのは、建設業である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転10ポイント、悪化32ポイントでDI値はマイナス18ポイントとなり、前月のマイナス33ポイントに対し、15ポイントの大幅な改善の動きとなっている。
 DI値は、改善が見られるが、依然マイナスの値であり、悪化傾向が続いている。
 収益状況が好転となったのは、刃物等金属製品(内需)、機械・工具販売、メガネ販売、生花販売、長良川畔旅館、クリーニング、広告美術、軽運送である。
 収益状況の悪化業種が特に多いのは、食料品、建設業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転7ポイント、悪化22ポイントでDI値はマイナス15ポイントとなり、前月のマイナス28ポイントに対し、13ポイントの大幅な改善ではあるが、依然、厳しい状況である。特に、建設業で悪化傾向が強い。
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