調査レポート
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景気動向調査
 平成15年8月  (平成15年8月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕8月の特色

◆ 景況感悪化幅縮小継続
◆ 先行き不安感が依然強
◆ 冷夏で夏物需要停滞

  〔 2 〕8月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転5ポイント、悪化49ポイントでDI値はマイナス44ポイントとなり、前月のマイナス46ポイントに対し、2ポイントの改善となっている。

 景況感DI値は、4ヶ月連続の改善の動きとなり、数値の動きでは底打ち傾向となっている。

 改善の要因は、業種別の景況感DI値が、木材・木製品、サービス業等で前月水準よりもマイナス幅が縮小したため、これが全体のマイナス幅を縮小させたことによるものであるが、景況感DI値の水準は依然として低い。

 また、売上高、収益状況の指標についても、前月に続き需要が増えた業種が一部にありマイナス幅縮小の動きとなったが、DI値は、売上高マイナス39ポイント、収益動向マイナス40ポイントと両指標とも依然大きなマイナスの水準である。

 販売価格については前月のマイナス36ポイントに対し10ポイント改善し、マイナス26ポイントと大きな改善の動きとなったが、販売価格が上昇したのは2業種だけで、全体としては、「下降」から「不変」への動向であり、依然、低価格化の状態が続いている。

 全体的には、需要低迷、企業間競争激化、低価格販売、収益悪化が続き中小企業の景況は依然として厳しい状況である。また、コメントの中には公共事業の縮小や、冷夏の影響、消費低迷と単価下落を指摘する意見が増えており、中小企業の景況感は底打ちを実感するには至っていない。

 前年同月比業況悪化業種が特に多いのは、食料品、窯業・土石、小売業、建設業である。

 前年同月比業況好転業種は、米菓、製材、金型、機械・工具販売である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、前年同月比売上は、動向が分かれ米菓で増加、味噌・醤油、豆腐で低調横這い、食肉、菓子、酒造、製麺で減少となった。全般に冷夏の影響による売上減少が出ている。

繊維・同製品は、前年同月比売上は、織物等川上業種、アパレル関連ともに低調横這傾向が強い。その中で、毛織物、婦人・子供服は減少となった。全体では、景況感の悪化傾向が強く業界は非常に厳しい状況が続いている。

木材・木製品は、動向が分かれ製材、銘木で増加、集成材、東濃ひのきで低調横這い、家具(飛騨地区)で減少となった。住宅産業の低迷の中、業界は依然厳しい業況悪化の動きが続いている。特殊な動向として、製材において、改正建築基準法施行、住宅ローン金利減税の期限切れなどによる駆け込み着工に加え、在来工法木造住宅などの堅調による実需改善の動きが出ている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前年同月比売上は低調横這いとなった。全般的に、収益、景況感の回復感は弱く低迷状態が続いている。

窯業・土石の陶磁器等では、前年同月比売上は、全般に減少傾向で依然厳しい状況が続いている。石灰については、需要先の鉄鋼業界の生産増加により売上が6ヶ月連続で増加傾向となった。建設資材の土石では、全業種で3ヶ月連続で減少となった。また、砂利においては、3ヶ月連続で主要指標が全て悪化となるなど厳しい状況となった。

機械・金属は、前年同月比売上は動向が分かれ、県金属工業団地、金型、輸送用機器で増加、鋳物、刃物等金属製品(内需、輸出)、メッキ、可児工業団地で低調横這い、電気機械器具で減少となった。業界全般では、景況感の回復感は弱く厳しい状況にあるが、金型は6ヶ月連続で売上増加となるなど、自動車関連を中心に堅調に推移している。

各種物産品は、前年同月比売上は、観光物産で低調横這い、ギフトで減少となった。ギフトにおいては依然、強い業況悪化の動きが続いている。

卸売業は、前年同月比売上は、岐阜地区総合卸売、機械・工具販売で低調横這い、飛騨総合卸売、陶磁器産地卸で減少となった。消費需要低迷が続く中、全体的に低迷が続いている。

小売業は、前年同月比売上は、減少又は低調横這いで減少傾向が強い。長雨、冷夏による影響に加え、消費需要の不振が続き苦しい業況となっている。

商店街は、前年同月比売上は、減少又は低調横這いで減少傾向が強い。長雨、冷夏による影響に加え、消費需要の不振が続き苦しい業況となっている。

サービス業は、前年同月比売上は動向が分かれ、理容・美容業で増加、自動車車体整備、情報サービス、映像制作、飲食業、ビルメンテナンスで低調横這い、自動車タイヤ整備、観光旅館(長良川畔、下呂温泉、高山)、クリーニング、広告美術で減少となった。
 広告美術においては、主要指標が全て悪化となるなど厳しい状況となった。全体では、販売価格は上昇せず、収益の改善は弱く、景況は依然厳しい状況である。

建設業は、全般的に前年同月比売上は、減少傾向が強い。その中で、各務原地区建築、建築板金は低調横這いとなった。前月に続き、土木(岐阜地区、飛騨地区)、土木・建築(羽島地区)で、主要指標の全てが悪化と厳しい状態となった。業界は、低調な公共工事や、業者間での受注競争激化などにより、低水準の受注状況が続いている。引続き公共工事の早期発注の強い要望が出ている。

運輸業は、前年同月比売上について、県域で低調横這い、軽運送で減少となった。また、収益状況は共に悪化となるなど厳しい状況となっている。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加9ポイント、減少48ポイントでDI値はマイナス39ポイントとなり、前月のマイナス42ポイントに対し、3ポイントの改善となっている。
 DI値は、2月以降、一進一退の状況が続いていている中、今回は前月に続き2ヶ月連続での改善の動きとなった。業種別に見ると、全般に変化が小さく、繊維・同製品、紙・紙加工品等で「減少」が「横這い」に改善したことが大きな要因となっている。
 前年同月比売上増加となったのは、米菓、製材、銘木、石灰、県金属工業団地、金型、輸送用機器、理容・美容業である。
 減少業種が特に多いのは、窯業・土石、小売業、建設業である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇2ポイント、下降28ポイントでDI値はマイナス26ポイントとなり、前月のマイナス36ポイントに対し、10ポイントの大きな改善の動きとなっている。 しかし、販売価格が上昇した業種は2業種だけであり、売上動向と同様に、「下降」から「不変」への改善が大きな要因となっている。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、東濃ひのき、理容・美容業である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転5ポイント、悪化45イントでDI値はマイナス40ポイントとなり、前月のマイナス47ポイントに対し、7ポイントの改善の動きとなっている。
 売上動向と同様に2ヶ月連続の改善の動きとなったが、DI値の水準は、依然大きいマイナスの値であり、極めて強い悪化傾向が続いている。
 好転となったのは、米菓、製材、長良川畔旅館、理容・美容業である。
 悪化業種が特に多いのは、食料品、窯業・土石、建設業、運輸業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転4ポイント、悪化26ポイントでDI値はマイナス22ポイントとなり、前月のマイナス35ポイントに対し、13ポイントの大きな改善となった。しかし、改善の動きは弱く、売上動向と同様に、「悪化」から「不変」への動きであり、依然厳しい状況が続いている。
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