調査レポート
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景気動向調査
 平成15年5月  (平成15年5月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕5月の特色
◆ 景況感悪化若干弱まる
◆ 消費需要依然動かず
◆ 先行き不安感変らず
  〔 2 〕5月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転4ポイント、悪化59ポイントでDI値はマイナス55ポイントとなり、前月のマイナス63ポイントに対し、8ポイントの大きな改善の動きとなっている。

 景況感DI値は、昨年12月以降マイナス60ポイント前後で推移し、消費関連の停滞感が続いている。その中では若干ではあるが、改善の動きになっている。また、前月に比し8ポイントの大きな改善の動きとなったが、マイナス55ポイントは、依然大きな悪化の数値であり、今後の推移を見守る必要がある。

 改善の要因は、業種別の変化が全般に小さい中で、小売業で前月水準に比較してマイナス幅が縮小したことが、全体のマイナス幅縮小の要因となった。

 売上高、販売価格、収益動向など主要指標についても、一部に季節要因等による受注量の回復が見られた業種がありマイナス幅縮小の動きとなった。しかし、DI値は、売上高マイナス37ポイント、販売価格マイナス34ポイント、収益状況マイナス46ポイントと依然大きなマイナスの水準であり、全般には、個人消費の低迷、公共工事の減少・民需の停滞、企業間競争の激化、海外製品との競合など経済環境は変らず、厳しい企業経営が続いているものと推測される。

 中小企業の景況は、景気の先行きに対する強い不安、長期化する景気低迷等により停滞感が強まっている。

 前年同月比業況悪化業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、窯業・土石、建設業である。

 前年同月比業況好転業種は、米菓、機械・工具販売、広告美術である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、前年同月比売上は、減少又は低調横這いで減少傾向が強い。その中で米菓は増加となった。収益状況、景況感についても悪化傾向が強く、依然厳しい業況が続いている。また、酒造においては、長期間主要指標が全て悪化となり一段と厳しい状況。

繊維・同製品は、前年同月比売上は、織物等川上業種、アパレル関連ともに減少又は低調横這いで減少傾向が強い。その中で紳士服は増加となった。全体では、収益状況、景況感に悪化傾向が強く業界は非常に厳しい状況が続いている。

木材・木製品は、前年同月比売上は、動向が分かれ製材、銘木で増加、家具(飛騨地区)で低調横這い、集成材、東濃ひのきで減少となった。東濃ひのきにおいては、主要指標の全てが悪化と厳しい状況。住宅産業の低迷の中、業界は依然厳しい業況悪化の動きが続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前年同月比売上は減少又は低調横這いとなった。収益、景況感の回復感は弱く、全般的に低迷状態が続いている。

窯業・土石の陶磁器等では、前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いとなった。陶磁器等の全業種において3ヶ月連続で景況感が悪化となるなど極めて厳しい状況。石灰については売上が3ヶ月連続で増加傾向となった。建設資材の土石では、砂利で低調横這い、生コンクリート、砕石で減少となった。

機械・金属は、前年同月比売上は動向が分かれ、メッキ、可児工業団地、金型で増加、鋳物、刃物等金属製品(内需)、県金属工業団地で低調横這い、刃物等金属製品(輸出)、電気機械器具、輸送用機器で減少となった。金型は3ヶ月売上増加が続いているが、収益の回復感は弱く厳しい状況。刃物等金属製品(輸出)、輸送用機器については、主要指標の全てが悪化となるなど、強い業況悪化の動きとなっている。

各種物産品は、前年同月比売上は、観光物産、ギフト共に減少。ギフトにおいては依然、強い業況悪化の動きが続いている。

卸売業は、前年同月比売上は動向が分かれ、機械・工具販売で増加、総合卸売(飛騨地区)で低調横這い、総合卸売(岐阜地区)、陶磁器産地卸で減少となった。

小売業は、動向が分かれ生花販売で増加、青果、家電機器販売、石油製品販売で低調横這い、水産物、メガネ販売、共同店舗(東濃、飛騨)で減少となっている。個人消費の低迷が続き、業界は苦しい状況が続いている。

商店街は、前年同月比売上は全般に低調横這いとなった。その中で多治見市は減少となった。依然続く来街者の減少、郊外大型店との競合等の影響もあり、商店街の不況感は依然強い。

サービス業は、前年同月比売上は動向が分かれ、長良川畔旅館、広告美術、理容・美容業で増加、クリーニング、飲食業で低調横這い、自動車車体整備、自動車タイヤ整備、下呂温泉旅館、高山旅館、映像制作で減少となった。売上が増加した業種においても、販売価格は上昇せず、収益の改善傾向も弱い。

建設業は、全般的に前年同月比売上は、減少傾向が強い。その中で、管設備工業は低調横這い、電気工事は増加となった。前月に続き、土木(岐阜地区、飛騨地区)、木製建具で、主要指標の全てが悪化となった。業界は、年度初めの公共工事端境期、民需の低迷により、低水準の受注状況が続いている。前月に続き公共工事の早期発注の強い要望が出ている。

運輸業は、前年同月比売上は、軽運送で低調横這い、県域で減少となった。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加17ポイント、減少54ポイントでDI値はマイナス37ポイントとなり、前月のマイナス49ポイントに対し、12ポイントの大幅な改善の動きとなっている。
 前月の動向と比較し、木材・木製品の改善傾向と、小売業の「減少」から「横這い」へと改善したことが大きな要因となっている。
 前年同月比売上増加となったのは、米菓、紳士服、製材、銘木、石灰、メッキ、可児工業団地、金型、機械・工具販売、生花販売、長良川畔旅館、広告美術、理容・美容業、電気工事である。
 減少業種が特に多いのは、繊維・同製品、紙・紙加工品、窯業・土石、各種物産品、建設業である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇2ポイント、下降36ポイントでDI値はマイナス34ポイントとなり、前月のマイナス39ポイントに対し、5ポイントの改善の動きとなっている。
 販売価格が上昇した業種は2業種だけであり、依然、販売価格の改善傾向は弱く、深刻な低価格販売、受注競争の激しさが続いていることが窺われる。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、機械・工具販売、生花販売である。
 下降業種が特に多いのは、建設業である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転6ポイント、悪化52ポイントでDI値はマイナス46ポイントとなり、前月のマイナス55ポイントに対し、9ポイントの大幅な改善の動きとなっている。
 1月からの3ヶ月連続の改善の動きの後、前月は大幅な悪化となり、当月再び改善の動きとなるなどDI値は不安定な動きをしている。また、DI値の水準は、依然強いマイナスの値であり、極めて強い悪化が続いている。
 好転となったのは、米菓、製材、可児工業団地、広告美術である。
 悪化業種が特に多いのは、食料品、窯業・土石、建設業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転2ポイント、悪化34ポイントでDI値はマイナス32ポイントとなり、前月のマイナス34ポイントに対し、2ポイントの改善となったが、依然、厳しい状況である。特に、各種物産品で悪化傾向が強い。
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