調査レポート
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景気動向調査
 平成15年3月  (平成15年3月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕3月の特色
◆ 景況感停滞
◆ 先行き不透明感強まる
  〔 2 〕3月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転1ポイント、悪化61ポイントでDI値はマイナス60ポイントとなり、前月のマイナス62ポイントに対し、2ポイントの改善となっている。
    
 景況感DI値は、昨年6月以降、厳しい数値の中で一進一退を繰り返す不安定な動きをしている。また、12月以降マイナス60ポイント前後で推移しており、当月は、概ね横這いの緩やかな改善となった。しかし、マイナス60ポイントは依然大きな悪化傾向であり、企業経営は厳しい状態が続いているものと推測される。

 売上高、収益状況の指標については、前月に続き需要が増えた業種が一部にありマイナス幅縮小の動きとなったが、DI値は、売上高マイナス31ポイント、収益動向マイナス45ポイントと両指標とも依然大きなマイナスの水準である。また、販売価格については前月のマイナス40ポイントに対し2ポイント悪化し、マイナス42ポイントと厳しい状態が続いている。全体的には、需要低迷、企業間競争激化、販売価格下降、収益悪化が続き中小企業の景況は依然として厳しい状況である。

 コメントの中には、同業者の廃業、原料高等の経費増を価格に転嫁できないため収益状況も厳しいなどの指摘に加え、イラク戦争の影響に伴う燃料費の値上がり等の影響を懸念する声が出ている。

 前年同月比業況悪化業種が特に多いのは、繊維・同製品、木材・木製品、窯業・土石、建設業である。特に繊維・同製品は前月に続き全ての回答が「悪化」としている。

 前年同月比業況好転業種は、季節需要があった広告美術だけである。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いとなった。その中で製麺は増加となった。収益状況、景況感についても悪化傾向が強く、依然低価格、低収益の厳しい業況が続いている。

繊維・同製品は、前年同月比売上は、織物等川上業種、アパレル関連共に減少となった。その中で、紳士服は増加となっている。前月に続き景況感が全ての業種で悪化となるなど業界は、需要低迷に加え、海外製品との競合等による収益悪化により依然厳しい状況が続いている。

木材・木製品は、前年同月比売上は、増加となった銘木を除き、他は全て減少となった。美濃地区家具、東濃ひのきについては、主要指標の全てが6ヶ月連続で悪化となるなど、依然厳しい業況悪化の動きが続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前年同月比売上は動向が分れ、プラスチックで増加、家庭紙、特殊紙、印刷で低調横這い、紙加工品で減少となった。売上増加となったプラスチックにおいても、原材料の値上がり、販売価格の低下により収益が悪化している。

窯業・土石の陶磁器等では、前年同月比売上は、全般に低調横這い又は減少となった。陶磁器等の全業種において景況感は悪化となるなど極めて厳しい状況。石灰については売上が前月に続き増加傾向となった。建設資材の土石では、動向が分かれ砂利4.7%、生コンクリート4.4%の増加、砕石で減少となった。

機械・金属は、全般的に前年同月比売上は動向が分かれ、刃物等金属製品(内需)、金型、機械・工具販売で増加、刃物等金属製品(輸出)、県金属工業団地で低調横這い、鋳物、可児工業団地で減少となった。業界全般に景況の回復感はなく厳しい状況。電気機械器具、輸送用機器については、主要指標の全てが悪化となるなど、強い業況悪化の動きとなっている。

各種物産品は、前年同月比売上は、観光物産、ギフト共に減少。ギフトにおいては5ヶ月連続で主要指標が全て悪化となり、強い業況悪化の動きとなっている。

卸売業は、前年同月比売上は、総合卸売(岐阜・飛騨地区)で低調横這い、陶磁器産地卸で減少となった。

小売業は、前年同月比売上は、全般に減少傾向となった。家電機器販売、メガネ販売においては、主要指標の全てが悪化となるなど、全般に消費需要の不振が続き苦しい業況となっている。

商店街は、前年同月比売上は全般に低調横這い、又は減少となった。引き続き来街者の減少、郊外型大型店との競合等の影響もあり、商店街の不況感は依然強い。

サービス業は、前年同月比売上は動向が分かれ、長良川畔旅館、下呂温泉旅館、クリーニング、広告美術で増加、自動車タイヤ整備、高山旅館で低調横這い、自動車車体整備、情報サービス、映像制作、飲食業で減少となった。売上が増加した業種においても、販売価格は上昇せず、収益の改善も弱い。その中で、宿泊人員が伸びた長良川畔旅館、季節需要等が前年より強かった広告美術では好調に推移した。

建設業は、全般に前年同月比売上は、減少又は低調横這いとなった。10業種中の3業種(土木(岐阜地区、飛騨地区)、木製建具、産直住宅)で、主要指標の全てが悪化となるなど、業界は、発注量の減少に加え、工事単価の低下、同業者間の過当競争等一段と厳しい業況が続いている。

運輸業は、前年同月比売上は、軽運送で増加、県域で減少傾向推移となった。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加19ポイント、減少50ポイントでDI値はマイナス31ポイントとなり、前月のマイナス42ポイントに対し、11ポイントの大幅な改善となっている。
 DI値は、3ヶ月連続での増加の動きとなった。しかし、依然マイナス30ポイント台の大きな減少傾向であり低調な需要動向が続いている。
 前年同月比売上増加となったのは、製麺、紳士服、銘木、プラスチック、石灰、生コンクリート、砂利、刃物等金属製品(内需)、金型、機械・工具販売、長良川畔旅館、下呂温泉旅館、クリーニング、広告美術、軽運送である。
 減少業種が特に多いのは、木材・木製品、各種物産品、小売業、建設業である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇2ポイント、下降44ポイントでDI値はマイナス42ポイントとなり、前月のマイナス40ポイントに対し、2ポイントの下降の動きとなっている。
 販売価格の上昇した業種は2業種と少なく、依然深刻な低価格販売、受注競争の激しさが窺われる。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、銘木、石油製品販売である。
 下降業種が特に多いのは、木材・木製品、紙・紙加工品、建設業である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転5ポイント、悪化50ポイントでDI値はマイナス45ポイントとなり、前月のマイナス55ポイントに対し、10ポイントの大幅な改善の動きとなっている。
 3ヶ月連続の好転の動きとなり、DI値は、昨年10月以来5カ月ぶりにマイナス40ポイント台となった。しかし、依然強いマイナスポイントであり、極めて強い悪化が続いている。
 好転となったのは、金型、機械・工具販売、長良川畔旅館、広告美術である。
 悪化業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、木材・木製品、建設業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転1ポイント、悪化38ポイントでDI値はマイナス37ポイントとなり、前月のマイナス40ポイントに対し、3ポイントの改善であるが、依然、厳しい状況である。特に、各種物産品、建設業で悪化傾向が強い。
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