調査レポート
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景気動向調査
 平成14年12月  (平成14年12月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕12月の特色
◆ 景況悪化止まらず
◆ 一層強まる先行き不安
  〔 2 〕12月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転1ポイント、悪化62ポイントでDI値はマイナス61ポイントとなり、前月のマイナス55ポイントに対し、6ポイントの悪化となっている。

 景況感DI値は、7月以降3ヶ月連続しての改善傾向後、先月に続き2ヶ月連続の悪化となり、再びマイナス60ポイント台となるなど、強い景況悪化の動きとなっている。

 業種別のDI値を見ると、食料品、繊維・同製品、木材・木製品等製造業で前月水準に比較してマイナス幅が拡大したことが、業況悪化拡大の要因となった。特に、繊維・同製品では全業種で悪化となり強い業況悪化の動きとなっている。
 また、売上高、収益状況の動向についても、マイナス12ポイント、10ポイントと両指標ともマイナス10ポイント台の大きな減少(悪化)となり、また、その他の指標においても、減少(悪化)が多く見られる。

 景況は、前月に引続き先行き不安等による個人消費の伸び悩み、公共工事・民需の停滞、海外製品との競合などによる価格競争、販売価格の低迷が続いていおり、更に厳しさを増している。

 コメントの中には、歳末商戦の低迷や競争激化、商品単価の下落、先行き不安感を指摘する声が多く、長引く不況の中で企業経営は厳しさを増しているものと推測される。

 前年同月比業況悪化業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、木材・木製品、窯業・土石、機械・金属、卸売業、小売業、商店街、建設業である。前年同月比業況好転業種は、食肉だけであるが、食肉は前月同様、前年がBSEの影響により低迷しており、今回は、その対比による好転である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、前年同月比売上は、動向が分かれ味噌・醤油、食肉で増加、豆腐、菓子で低調横這い、米菓、酒造、製麺で減少となった。全体では、収益、景況感の悪化傾向は強く厳しい業況。酒造においては、3ヶ月連続で主要指標が全て悪化となるなど、厳しい状況が続いている。

繊維・同製品は、前年同月比売上は、織物等川上業種、アパレル関連ともに減少傾向となっている。収益状況、景況感についても、全ての業種で悪化となる等、業界は非常に厳しい状況が続いている。

木材・木製品は、前年同月比売上は、低調横這いの製材を除き、他は全て減少となった。6業種中の3業種(美濃・飛騨地区家具、東濃ひのき)で、主要指標の全てが悪化(美濃地区家具、東濃ひのきにおいては、3ヶ月連続)となるなど、厳しい業況悪化の動きが続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前年同月比売上は、動向が分かれ家庭紙で増加、印刷、プラスチックで低調横這い、特殊紙、紙加工品で減少となった。売上増加となった家庭紙においても原料の値上げによる収益悪化が懸念されている。

窯業・土石の陶磁器等では、前年同月比売上は、全般に低調横這い、又は減少傾向となっている。建設資材の土石では、全般に減少傾向、その中で、砕石は増加となった。販売価格、収益共に9業種中6業種で下降(悪化)となるなど業況は依然厳しい状況が続いている。

機械・金属は、全般的に前年同月比売上は、低調横這い、又は減少傾向である。その中で、刃物等金属製品(内需)は増加傾向である。刃物等金属製品(輸出)、機械・工具販売においては主要指標が全て悪化となるなど、厳しい業況悪化の動きとなっている。可児工業団地、金型の自動車関連は堅調に推移しているが、業界全般では景況の回復感はなく厳しい状況。

各種物産品は、前年同月比売上は、観光物産、ギフト共に減少。ギフトにおいては4ヶ月連続で、主要指標が全て悪化となり、厳しい業況悪化が続いている。

卸売業は、前年同月比売上は、岐阜地区総合卸売で低調横這い、飛騨地区総合卸売、陶磁器産地卸で減少となり、全体的に低迷が続いている。

小売業は、前年同月比売上は動向が分かれ、生花販売で増加、青果、中古自動車販売、石油製品販売で横這い、水産物、家電機器販売、メガネ販売、共同店舗(東濃、飛騨)で減少となっている。消費需要低迷が続き、全体的に依然業況が低調に推移している。

商店街は、前年同月比売上は、全般に減少傾向。その中で、年末売出しが好調であった岐阜市は増加傾向となっている。商店街は、来街者の減少が止まらず厳しい業況が続いている。

サービス業は、前年同月比売上は、動向が分かれ、自動車車体整備、長良川畔旅館で増加、広告美術、映像制作で低調横這い、自動車タイヤ整備、下呂温泉旅館、高山旅館、クリーニング、飲食業で減少となった。売上が増加した業種においても、販売価格は上昇せず、収益の改善も弱い。総合すると景況は依然厳しい状況にある。

建設業は、全般的に前年同月比売上は、低調横這い、又は減少傾向である。その中で、電気工事は増加傾向となった。10業種中の5業種(土木(岐阜地区、飛騨地区)、土木・建築(羽島地区)、木製建具、産直住宅(付知地区))で、主要指標の全てが悪化となるなど、業界は、受注減少に加え、同業者間の過当競争も厳しく業況悪化が続いている。

運輸業は、前年同月比売上は、減少傾向で推移している。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加12ポイント、減少61ポイントでDI値はマイナス49ポイントとなり、前月のマイナス37ポイントに対し、12ポイントの大幅な減少となっている。
 3ヶ月連続での減少となり、DI値は再びマイナス40ポイント台となり強い減少の動きが続いている。前月の動向と比較して、特に減少傾向が強いのは、繊維・同製品、窯業・土石である。
 売上増加となったのは、味噌・醤油、食肉、家庭紙、砕石、刃物等金属製品(内需)、生花販売、商店街(岐阜)、自動車車体整備、長良川畔旅館、電気工事である。
 全体が減少傾向の中、比較的減少が弱い業種は、食料品、機械・金属である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇2ポイント、下降43ポイントでDI値はマイナス41ポイントとなり、前月のマイナス49ポイントに対し、8ポイントの改善の動きとなっている。
 この改善の動きは、販売価格が上昇したのは2業種であり、「下降」から「不変」への改善が主な要因であり、依然、強い低価格化の状態が続いている。
 販売価格が上昇したのは、家庭紙、生花販売である。
 下降業種が特に多いのは、木材・木製品、窯業・土石、建設業となっている。

収益状況の動向は、前年同月比で好転1ポイント、悪化62ポイントでDI値はマイナス61ポイントとなり、前月のマイナス51ポイントに対し、10ポイントの大きな悪化の動きとなっている。
 前月に続き2ヶ月連続での減少となり、DI値は再びマイナス60ポイント台となり極めて強い悪化となった。
 好転となったのは、生花販売のみである。
 悪化業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、木材・木製品、窯業・土石、各種物産品、卸売業、商店街、サービス業、建設業、運輸業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転1ポイント、悪化41ポイントでDI値はマイナス40ポイントとなり、前月のマイナス35ポイントに対し、5ポイントの悪化であり依然、厳しい状況である。特に、繊維・同製品、商店街、建設業で悪化傾向が強い。
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