調査レポート
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景気動向調査
 平成14年6月  (平成14年6月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕6月の特色
◆ 景気底這い状態・依然先行き不透明
◆ 収益依然低迷
  〔 2 〕6月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転2ポイント、悪化54ポイントでDI値はマイナス52ポイントとなり、前月と同数値の横這い傾向となっている。 

 DI値は、4ヶ月連続しての改善後、概ね横這いの緩やかな改善となり、上げ止まりの傾向となっている。

 DI値の動きでは底打ち傾向となっているが、マイナス52ポイントは依然大きな悪化傾向である。

 また、販売価格動向は5ポイントの改善となっているが、収益動向のDI値は前月に引き続きマイナス55ポイントの依然大きなマイナス水準であり、また、需要不足による企業間競争の激化、景況の先行き不安、個人消費の低迷等、厳しい経済環境は変わらず、景気の先行きは楽観できない状況にある。

 このような景況にあって、業界からは、倒産や廃業についての声が増えてきている。

 前年同月比業況悪化業種が特に多いのは、繊維・同製品、木材・木製品、窯業・土石、建設業である。

 前年同月比好転業種は、季節需要があった米菓、家電機器販売である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、前年同月比売上は、動向が分かれ米菓で増加、味噌・醤油、製麺で減少、その他は低調横這いとなった。収益状況、資金繰り、景況感悪化傾向が強く、依然厳しい業況が続いている。(香料に食品衛生法に違反する添加物が含まれていた問題で、米菓において取引先からの問い合わせが来ている等、食品に対する不安や不振が高まっており対応に苦慮している。)

繊維・同製品は、前年同月比売上は、織物等川上業種、アパレル関連共に減少傾向となっている。アパレル関連は、夏物衣料が低調推移になっている。全回答が収益状況悪化としており、需要減少、価格低下のため、極めて深刻な状況にある。

木材・木製品は、前年同月比売上は、低調横這いの集成材を除き、全般に減少傾向となった。6業種中の4業種(製材、銘木、美濃地区家具、東濃ひのき)で、主要指標の全てが悪化となるなど、厳しい業況悪化の動きとなっている。


紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前年同月比売上は、プラスチックの増加を除き、全般に低調横這い、又は減少傾向となった。売上が増加したプラスチックにおいても原材料の値上げ要請が続き、今後の収益悪化が懸念される。

窯業・土石の陶磁器等では、前年同月比売上は、全般に減少傾向となっている。その中で、陶磁器(輸出)、石灰は増加傾向となった。売上増加となった業種についても収益に改善傾向は見られず、依然厳しい状況が続いている。建設資材の土石では、動向が分かれ砕石で増加、砂利で横這い、生コンクリートで減少となった。


機械・金属は、全般的に前年同月比売上は、低調横這い、又は減少傾向である。その中で、機械・工具販売、輸送用機器は、増加傾向となっている。IT関連に需要回復の兆しが出てきている。業種、分野により動向が多様、且つ、流動的に変化している。需要増加となった業界においても景況の回復感はない。


各種物産品は、前年同月比売上は、観光物産で増加、ギフトで減少傾向となっている。

卸売業は、前年同月比売上は、岐阜地区総合卸売で低調横這い、飛騨地区総合卸売、陶磁器産地卸で減少傾向となっている。

小売業は、前年同月比売上は、低調横這い、又は減少で推移している。その中で、ワールドカップ効果の出た家電機器販売だけが順調であった。全般には、消費需要の低迷が続き、苦しい状況である。

商店街は、前月比売上は、大垣市、恵那市で低調横這い、岐阜市、多治見市、高山市で減少。中元セールによる売上も低調に推移した。売上減少、収益悪化の中、依然不況感が強い。

サービス業は、前年同月比売上は、動向が分かれ、長良川畔旅館で増加、自動車車体整備、自動車タイヤ整備、広告美術、情報サービス業で減少、その他は低調横這いとなった。売上が増加した長良川畔旅館でも、販売価格は上昇せず、収益に改善は見られない。景況は全般に、依然厳しい状況が続き、政府の景気底打ち判断を感じていない業種が多い。

建設業は、全般的に前年同月比売上は減少傾向である。公共工事の単価引下げ、発注量の減少により、業況が悪化している。また、民需も低水準の受注状況が続き、公共工事の早期発注の強い要望が出ている。

運輸業は、前年同月比売上は、減少傾向で業況が悪化している。
  主な調査項目での動向
売上動向は、増加12ポイント、減少52ポイントでDI値はマイナス40ポイントとなり、前月と同数値で、極めて強い需要の減少傾向が続いたことになる。
 全般に変化が小さい中、前月の動向と比較し、繊維・同製品に悪化傾向、窯業・土石に改善傾向が出ている。また、先行き不透明との意見も多く、今後の推移も懸念される。
 売上増加業種は、米菓、プラスチック、陶磁器(輸出)、石灰、砕石、機械・工具販売、輸送用機器、各種物産品(観光)、家電機器販売、長良川畔旅館である。
 減少業種が特に多いのは、繊維・同製品、木材・木製品、窯業・土石、小売業、商店街、建設業である。

販売価格の動向は、上昇0ポイント、下降39ポイントでDI値はマイナス39ポイントとなり、前月のマイナス45ポイントに対し、6ポイントの改善の動きとなっている。2ヶ月連続の改善となったが、販売価格の上昇した業種は無く、「下降」が「不変」に改善したことが要因となっている。依然、深刻な低価格販売、受注競争の激しさが窺われる。
 下降業種が特に多いのは、木材・木製品、建設業となっている。

収益状況の動向は、上昇2ポイント、下降57ポイントでDI値はマイナス55ポイントとなり、前月と同数値で極めて強い悪化が続いたことになる。  低価格の影響等が大きく、売上が増加している業種についても収益の改善は見られない業種が多く、容易に収益が改善しない状況が続いている。
 好転業種は、プラスチック、各種物産品(観光)である。
 悪化業種が特に多いのは、繊維・同製品、木材・木製品、紙・紙加工品、窯業・土石、建設業である。

資金繰りの動向は、好転0ポイント、悪化41ポイントでDI値はマイナス41ポイントとなり、前月のマイナス40ポイントに対し、1ポイントの悪化、概ね横這いの傾向となっている。 昨年8月から長期に亘りマイナス50ポイント以上の大きな悪化傾向が続いた後、4ヶ月はマイナス40ポイント台前半で推移し、改善傾向が停滞している。


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