調査レポート
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景気動向調査
 平成12年11月  (平成12年11月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕11月の特色
◆ 消費停滞が続く。
◆ 機械関係の需要拡大が続く。
  〔 2 〕11月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転2ポイント、悪化27ポイントでDI値はマイナス25ポイントとなり、前月のマイナス21ポイントに対し、4ポイントの悪化で、また、9月のDI値と同数値になっている。

 前月の動向との比較では、「悪化」が4ポイントの増加で、前月比悪化は悪化業種の増加によるものである。反対に、「好転」は前月と変わらず2ポイントであり、景況感の好転業種は増えていない。

 例年11月は、衣料、観光等季節需要が終了する業種が多く、秋需が大きい前月に対し、売上の減少、景況感が後退する傾向がある。今回は、気温の高い気象が続き、季節需要の盛り上がりが小さく、前月比動向の変化が縮小しているものと考えられる。

 前月比動向を業種別に見ると、小売業、サービス業で悪化が出ているが、他は前月と同様の動向となっている。

 前月に続き、消費低迷、低価格のために消費需要、建設需要の業種で景況感悪化が大きく、また、売上が増えている業種にあっても、殆んどの業種で収益に結び付いていない。全般的に、輸入品の増加、石油系材料の値上がりによるコストアップのマイナス要因が依然強く、明るい材料のないまま低迷が続いている。その中で、機械関係で需要拡大が続いていることだけが明るい材料となっている。

 前月比、景況感が好転したのは合成繊維織物、機械・工具販売である。
 景況感悪化業種が多いのは繊維・同製品、商店街、サービス業、建設業、次いで食料品である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、前月に続き秋需要により前月比売上が増加している。しかし、前年同月比では依然前年割れの業種が多く、業況は引き続き低迷している。前年同月比が増加となっているのは食肉、菓子である。また、売上増加により一部の業種に収益改善が見られるが、依然低価格シフトが強く、収益圧迫要因になっており、景況感は改善していない。

繊維・同製品の前月比売上動向は季節要因により織物等の川上業種で上昇傾向、アパレル等川下業種では減少傾向が見られる。しかし、前年同月比では両方とも同様の傾向で、一部に増加の業種が見られるが、全体では減少の業種が多い。需要、価格の低迷により業況悪化が続いている。その中で、合成繊維織物では、需要の増大、業況の好転となっている。

木材・木製品は、業種によりバラツキがあるが、総合すると前月比、前年同月比ともに売上が概ね、横這いとなっている。このため、引き続き低価格シフトではあるが、住宅建築用木材の需要は底堅く推移しているが、先月に引き続き下降気配が出ており、今後の推移が懸念されている。また、木製家具は、飛騨地区で秋需により前月比売上は増加となっているが、家具需要全般では、低価格化と輸入品の増加により苦戦を続けている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックは、前月、需要増加の動きが見られたが、当月は動きが止まり前月横這いの売上、受注となっている。また、前年同月比では、総合すると停滞となっており、業況は依然低迷を続けている。

窯業・土石の陶磁器関係は、概ね前月横這いで、長期低迷が続く中で主要燃料値上がりのコストアップ、低価格、輸入品増加のマイナス要因が大きく、一方でプラス要因は表れていない。このため、先行きも厳しい業況で推移するものと予想されている。建設資材関係は、前月比動向は売上増加となっているが、前年同月比では減少の業種が多く、景況感は前月横這い、依然低迷が続いている。鉄鋼、化学工業を需要先とする石灰においては需要停滞の中で、重油価格高騰によるコストアップが大きな問題となっている。

機械・金属の機械関係は前月に続き、前月比売上、受注が増加している。一方、鋳物、刃物等金属製品関係は前月比横這い、停滞が続いている。前年同月比の動向は、両極に分かれ、増加、減少それぞれに4割の業種が回答している。需要増加の業種においても、受注単価が厳しく、収益の改善には至っていないため、景況感も改善していない。この中で、機械・工具販売では4ヶ月連続上昇を続け、順調な動きとなっている。

各種物産品は、季節要因により前月比売上が増加となっている。しかし、前年同月比は概ね横這いとなっている。価格、収益等の指標では、前月に続き観光物産は安定しているが、ギフトは低迷している。

卸売業の前月比動向は、前月と同様陶磁器卸が悪化、飛騨地区総合卸が横這いとなっている。陶磁器卸では取引先の消費地卸の倒産、廃業の増加で業界の混迷、先行き不安を強めている。

小売業では、前月横這いで低迷が続いている。低価格シフトの傾向が強く、売上数量、来店者数が増えている所でも売上高が増えていない。また、大型チェーン店等の大型店の出店が多く、来店者数の減少だけでなく、販売価格低下の影響があり、地域店の経営を圧迫している。

商店街は、季節需要も弱く、前月比横這い、低調な業況で推移している。特に秋物に続き、冬物も衣料中心に需要が低く、本年の秋は季節感の弱い商況で終始した。前年同月比の動向でも、横這い、若しくは悪化であり、厳しい状況が続いている。

サービス業は、前月、観光需要を中心に季節需要により前月比売上増加となっていたが、当月は反対に前月比売上が減少となっている。特に収益状況、資金繰りの悪化が他の業種に較べて多い。前年同月比でも、横這い又は悪化、減少となっており、業況悪化となっている。

建設業では、公共工事繁忙期に入ってきたが、売上増加業種が少なく、反対に、住宅等民需関連は売上減少となっている。また、殆んどが前年割れの業況にあり、厳しい状況になっている。民需の低迷、公共工事発注の頭打ちにより建設需要低迷が長期化しており、また、受注競争激化による受注の低価格化が顕著となっており、企業経営が一段と厳しくなっている。

運輸業では、前月比動向は低調横這いとなっている。前年同月比動向は、岐阜地域は横這い、県域では好転と分かれている。
  主な調査項目での動向
売上動向は、増加24ポイント、減少27ポイントで、DI値はマイナス3ポイントとなり、前月のプラス14ポイントに対し、17ポイントの大幅な下降となっている。
 業種別に見ると、紙・紙加工品、サービス業、建設業で「増加」から「減少」に悪化したこと、また、木材で「増加」が「横這い」にペースダウンしたことが大きな要因となっている。盛り上がりを欠いてはいたが、10月の季節需要の反動等、季節的な要因が働いている。このため、需要の状況としては概ね前月並みの水準で推移しているものと推量される。その中で機械関係が前月に続き増加となっていることが明るい材料となっている。
 売上増加業種が多いのは食料品、機械関係、各種物産品である。
 減少業種が多いのはサービス業、建設業である。


受注動向は、増加23ポイント、減少21ポイントで、DI値はプラス2ポイントとなり、前月のプラス7ポイントに対し、5ポイントの下降となっている。
 業種別に見ると、全般に個別の変化が小さく、サービス業だけが「増加」から「減少」に大きく下降し、全体の下降の要因となっている。また、全般的に前月横這い、若しくは減少となっている中で、機械関係の増加が大きく、DI値プラスを維持するうえで大きく寄与し、また、増加の動きになって4ヶ月に入り、底堅い動きとなっている。一方、比較的長期間堅調に推移した建築用木材では、軟化気配が出て来ている。需要動向は総合すると上向きの動きが垣間見られるが、単価が厳しく、また、低価格品シフトが強く、収益、景況感への影響が無い状況が続いている。
 受注増加業種が多いのは機械関係、各種物産品、食料品である。
 受注減少業種が多いのはサービス業である。


販売価格の動向は、上昇1ポイント、下降16ポイントで、DI値はマイナス15ポイントとなり、前月のマイナス14ポイントに対し、若干のマイナス増加となっている。
 前月との対比を業種別に見ると、一部に若干の変動が見られるが、概ね前月と同様の動向となっている。低価格品の輸入の増加、消費需要の低価格化による消費関連の低価格化が強く、一方、比較的堅調な機械関係、木材関係においても激しい受注競争のため、低価格横這い傾向にあり、落ち込んだ価格の回復の動きは見られていない。
 下降業種が多いのは商店街、食料品、建設業、サービス業の順である。


収益状況の動向は、好転8ポイント、悪化22ポイントで、DI値はマイナス14ポイントとなり、前月横這いとなっている。
 前月との対比を業種別に見ると、サービス業、機械・金属で悪化が大きく、特にサービス業で著しい。一方、改善の動きは、多くの業種に小さく 分散した形となっている。DI値は前月に続きマイナス20ポイント台が長期間続いた後、2ヶ月連続でマイナス10ポイント台となり、改善の動きとなっているが、内容は「悪化」割合の減少、「好転」割合は横這いであり、底這い的な状況が窺える。一部に需要の量的な回復が見られるが、それらの業種においても、低価格化、コストアップのために収益改善効果があまり表れていない。
 DI値がプラスとなっているのは木材・木製品、各種物産品である。
 悪化業種が多いのはサービス業、商店街、機械・金属、建設業である。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想を景況感DI値で見ると、好転予想4ポイント、悪化予想34ポイントで、DI値はマイナス30ポイントとなり、当月実績のマイナス25ポイントに対し、5ポイントの悪化予想となっている。
 向こう3ヶ月は12月、1月、2月であり、例年、需要が冬枯れで低く、また、年末年始の休日により営業日数が減少する業種が多く、売上減少、景況感後退の傾向にある。
 今回もこの傾向が表れている。一方、季節要因で例年の傾向と異なるのは木材・木製品の需要が伸びること、一方、建設業で公共工事最盛期でも売上増加とならないことの2点が指摘され、建築需要、公共工事の構造的な変化が窺える。特記すべきこととして、機械関係の好転予想があげられる。例年、営業日数の減少等で売上減少傾向にあるが、今回は、売上増加、収益及び景況感の好転となっている。
 これらを総合すると、機械関係等限られた一部の業種に需要回復の動きが見られるが、全般的には当月実績横這いの低調な業況が続くものと予想されている。
 好転予想となっているのは金型、機械・工具販売、県域貨物運送である。
 反対に悪化予想業種が特に多いのは繊維・同製品、商店街、比較的多いのは食料品、サービス業、建設業である。


売上動向予想
は、増加予想15ポイント、減少予想30ポイント、DI値はマイナス15ポイントとなり、当月実績マイナス3ポイントに対し、12ポイントの大幅な減少予想となっている。減少の要因には、消費関連の冬枯れが主な要因としてあげられる。
 業種別に売上動向予想を当月実績と比較すると、繊維・同製品及び窯業・土石で減少傾向が大きい。その他の業種は若干の相違がある業種もあるが、概ね当月実績と同様の動向となっている。
 これらの動向を総合すると、当月実績に季節変動を加えた動向の予想となっており、機械関係を除き、需要の低迷が続く予想となっている。
 売上増加予想業種が多いのは機械関係、食料品、木材・木製品である。
 減少予想業種が多いのは、繊維・同製品、紙・紙加工品、商店街、窯業・土石である。

収益動向予想は、好転予想7ポイント、悪化予想29ポイントで、DI値はマイナス22ポイントで、当月実績のマイナス14ポイントに対し、8ポイントの大幅な悪化予想となっている。
 業種別に動向予想を見ると、業種間格差が大きいことがあげられる。木材・木製品、機械・金属はプラスのDI値で堅調、一方食料品、繊維・同製品は半数以上が「悪化」の予想となっている。
 前月の「向こう3ヶ月予想」でも大きな業種間格差の予想となっており、景況動向との関係を合わせ、今後の推移を注目する必要がある。
 総合的には、実績値で2ヶ月連続マイナス10ポイント台にあったものが、当予想はマイナス20ポイント台に下降するものであり、懸念すべき予想となっている。
 DI値がプラス値で堅調な動きとなっているのは木材・木製品、機械・金属である。
 悪化予想業種割合が特に大きいのは食料品、繊維・同製品で、比較的大きいのは商店街、小売業、サービス業、建設業である。
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