調査レポート
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景気動向調査
 平成12年9月  (平成12年9月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕9月の特色
◆ 季節要因は極めて低調。
◆ 材料高製品安が拡大。
  〔 2 〕9月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転2ポイント、悪化27ポイントでDI値はマイナス25ポイントとなり、前月のマイナス23ポイントに対し、2ポイントのマイナス増加である。好転回答、悪化回答別の動きでは、好転回答、悪化回答がともに減少、不変が前月65ポイントから71ポイントに増加し、動向として前月横這いに向けた動きとなっている。

 例年9月は、衣料品、食料品の消費需要、公共工事、建築の建設関係の需要等、季節要因があり、また、前月の夏期休暇による稼働日数減少の反動等の要因で、前月比売上が大きく増加し、また、景況感も改善している。

 しかし当月は、反対に若干ではあるが悪化となっており、極めて希有な前月比動向になっている。この要因には、残暑により季節の消費需要が伸びなかったこと、公共工事発注が遅れていること、さらには石油系の値上がりに係るコストアップ及び低価格シフトによる収益の圧迫があげられる。

明るい材料として、プラスチック、機械関係、タイル等で需要の伸びが出て来たことがあげられるが、全体の低調な業況、収益改善の遅れのため、これらの業況でも景況感の好転が容易に表われて来ない状況にある。このため、当月の景況は、概ね前月横這い、回復の動きが感じられない低調な景況で推移している。

 前月比悪化業種が多いのは繊維・同製品、窯業・土石、商店街、建設業である。

 前月比好転業種は機械・工具販売、広告美術である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、例年9月は需要が増え、前月比売上が増加する傾向があるが、今回は残暑の影響もあって、伸びが弱く、概ね前月横這いで推移している。
 個別の業種の動向としては、残暑の影響度合が異なるなどにより、動向が多様となっているが、変化は小さい。依然、低価格志向、低収益で厳しい業況となっている。

繊維・同製品は、アパレル関係は、秋冬物出荷で前月比売上が増加した。しかし、残暑による出荷の遅れが目立ち、前年割れとなっており、加えて、低価格、低収益が続き、景況感は悪化している。織物等川上業種においては前月比売上が減少、また、構造的な不況も加わり、廃業発生等厳しい業況が続いている。

木材・木製品は、季節需要により前月比売上が増加となっている。前年対比は概ね横這いであり、景況感の好転には至らず、前月比景況感も横這いとなっている。木材需要の低価格シフト、家具の輸入品の増加が依然続き、季節要因で一部、販売価格の上昇、収益改善が出たが、全般的に厳しい収益状況が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックは、前月比売上が増加傾向となっているが、原材料高、製品安が続き、収益、景況感の改善に至っていない。プラスチックでは売上の増加が続いているが、収益は反対に悪化しており、材料高製品安が顕著である。

窯業・土石では、陶磁器関係は前月に引き続き低迷横這いの厳しい業況が続いている。特に中国を主とする輸入品の急増の影響も大きくなっている。また、低価格シフトが強く、タイルでは売上が増えているが、燃料コスト、紙資材の値上がりで収益が改善していない。建設資材関係は、概ね、前月に続き、前年対比売上は上向きとなったが、前月比売上は減少している。

機械・金属は、総合すると前月比横這いの売上動向となっている。例年9月は、夏期休暇のある前月に対し、売上が増加するが、当月はこの動きが弱い。前年対比売上では、前年を上回る回答が多く、特に機械関係でその傾向が強い。低価格の問題が根強く残っているが、収益改善の業種が若干出て来ているなど、不安定な中で動きが出ている。

各種物産品は、季節要因で前月比売上が増加傾向になっているが、前年対比は減少となっている。観光物産とギフトは前月と同様、動向が異なり、観光物産には収益状況の好転等、明るい動向が続いたが、ギフトは、前月の厳しい状況が続いている。

卸売業は、前月と概ね同様で、陶磁器卸では前月に引き続き需要の減少、消費の低迷、輸入品との競合等マイナス要因が続き、業況が悪化しいている。飛騨地区総合卸は前月横這いの中で、一部、収益悪化が出ている。

小売業は、低調な前月の需要動向に横這いで推移し、前月比殆んど変化が見られない。残暑の影響もあって秋需要の動きも弱い。大手チェーン店等の影響も大きく、厳しい業況が続いている。


商店街は、概ね前月横這い、低調な業況で推移している。残暑の影響で衣料等秋物需要が遅れている。また、前月に続き、5回答の内4回答が前年割れとなっており、依然厳しい業況が続いている。消費低迷、大型店との競合が大きく影響している。

サービス業は、業種によって業況が多様となっているが、前月に較べれば、業況悪化の業種が多く、総合すると悪化となる。前月の岐阜県で開催された全国高等学校総合体育大会の影響で、宿泊者が増えた旅館も、秋の観光需要で補い切れていない。順調な広告美術、映像製作を除き、他は低調あるいは不振の業況となっている。


建設業では、公共工事発注により前月比受注の増加も見られるが前年に較べて発注が遅れており、また、民需の低迷で受注不足の状況が続いている。受注不足による価格競争が激化し、採算割れ受注等、受注単価、販売条件が一段と厳しくなっている。このため、景況感も悪化し、業況は益々厳しくなっている。

運輸業は、貨物取扱量の安定化が見られるが、軽油の値上がりによる収益悪化が出て来ており、景況感は変わらず、低調横這いとなっている。
  主な調査項目での動向
売上動向は、増加29ポイント、減少30ポイントで、DI値はマイナス1ポイントとなり、前月のマイナス12ポイントに対し、11ポイントの比較的大きい改善となっている。
 例年9月は、夏期休暇のある8月の減少傾向の反動、衣料品の秋冬物需要、建築資材の需要、公共工事の発注の本格化等、季節要因による売上増加が大きく出る時期である。当月(9月)においても、アパレル、建築資材等で季節需要が出ているが、残暑の影響による秋冬物需要の遅れ、公共工事発注の遅れ等により、季節要因の動きが例年よりも弱い。この弱い季節要因は、依然として続いている消費の低迷、低価格シフトにより売上が伸びず、前月横這いの動向となっている。 特に、低価格のために数量は増えても金額の伸びが弱い業種があること、また、機械・金属のように需要動向が不安定な業種があることなど、需要動向に流動的な傾向が出て来ている。
 売上増加業種が多いのは木材・木製品、機械、紙・紙加工品、印刷、プラスチックである。
 減少業種が多いのは窯業・土石、繊維・同製品、建設業である。


受注動向は、増加26ポイント、減少23ポイントで、DI値はプラス3ポイントとなり、前月のマイナス14ポイントに対し、17ポイントの大幅な改善、好転となっている。
 業種別に動向を見ると、殆んど売上動向に類似している。大きな相違のあるものは、建設業で、売上動向DI値マイナス20ポイントに対し、受注動向は±0ポイントになっている。
 売上動向と同様、秋冬物の受注の遅れ、公共工事受注の遅れ等の影響、また、消費低迷等の不況要因のため、例年より好転が小さく、需要動向の回復と見るには力不足の感が強い状況にある。
 増加業種が多く、DI値がプラスになっているのは、木材・木製品、紙・紙加工品、印刷、プラスチック、機械があげられる。
 減少業種が特に多いのは窯業・土石、繊維・同製品、サービスで業である。

販売価格の動向は、上昇5ポイント、下降19ポイントで、DI値はマイナス14ポイントとなり、前月のマイナス12ポイントに対し、2ポイントのマイナス増加となっている。
 上昇数値だけを見た場合、この3ヶ月間、3,4,5と1ポイントの増加を続けているが、下降数値も強く、下降傾向が根強く残っている。上昇の4回答は、業種区分に全て分散し、特定の業種区分での上昇の動きは出ていない。一方、下降回答は、サービス業、窯業・土石、建設業で2以上の回答があり、これらの業種での下降傾向が強い。

収益状況の動向は、好転8ポイント、悪化28ポイントで、DI値はマイナス20ポイントとなり、前月のマイナス22ポイントに対し、2ポイントのマイナス増加となっている。
 この数ヶ月、マイナス20ポイント台が続いており、厳しい収益状況が続いている。売上が増加していても、石油系の値上がりに係るコストアップ、低価格で収益状況が改善していない業種も少なくないことが、収益改善、景況の改善を抑えている。
 収益状況の改善のDI値がプラスになっているのは木材・木製品である。
 悪化業種が多いのは繊維・同製品、窯業・土石、サービス業、建設業である。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
  向こう3ヵ月の景気動向予想を景況感DI値で見ると、好転予想8ポイント、悪化予想22ポイントで、DI値はマイナス14ポイントとなり、当月実績のマイナス25ポイントに対し、11ポイントの大幅な改善予想となっている。
 好転、悪化の数値を当月実績と比較すると、好転が6ポイント増加、悪化が5ポイント減少となっており、明らかな改善のパターンを示している。

 例年9月の向こう3ヶ月は、9月の需要期の反動を受け、景況感が相当下降する傾向がある。

 しかし、今回は、反対に大幅な改善予想となっており、例年の動きと全く異なっている。

業種別に動向を見ると、好転回答が全く分散し、また、悪化回答も当月実績の分布状況と酷似しており、当月比景況改善の傾向は全般に分散した形となっている。

 例年9月に出る前月比改善の動きが残暑等により遅れ、向こう3ヶ月にズレ込む予想と考えられるが、繊維・同製品、商店街、建設業の悪化予想から、その見方も難しいため、改善予想の要因を指摘することが困難である。

好転予想となっている業種は木材・木製品、機械、小売業である。

 また、悪化予想業種が多いのは繊維・同製品、商店街、建設業である。

売上動向予想は、増加予想21ポイント、減少予想13ポイントで、DI値はプラス8ポイントとなり、また、当月売上実績マイナス1ポイントに対し、9ポイントの好転予想となっている。
 業種別に見た場合、当月実績値に較べ改善予想となっているのは食料品、機械・金属、商店街、サービス業となっており、改善予想の要因には、消費需要の増加と機械関係の回復が考えられる。
 増加予想業種の割合が大きいのは木材・木製品、紙・紙加工品、印刷、プラスッチック、機械・金属である。
 反対に減少予想業種の割合が大きいのは繊維・同製品、窯業・土石である。


収益動向予想は、好転予想8ポイント、悪化予想17ポイントで、DI値はマイナス9ポイントとなり、当月収益実績のマイナス20ポイントに対し、11ポイントの大幅な改善予想となっている。
 これを業種別に見ると、木材・木製品は5割の回答が好転を予想し、顕著な動きとなっているが、他の好転予想回答の4回答は全て分散している。また、当月実績との比較についても、好転回答ポイントは変わらず、悪化回答ポイントが11ポイントの減少となっている。これらのことから、前月比動向予想は木材・木製品だけが改善が進み、他は、概ね横這いの悪化傾向となっていることが指摘される。
 悪化予想業種割合が多いのは繊維・同製品、窯業・土石、建設業である。
 DI値が±0以上であるのは木材・木製品、機械・金属、流通業、サービス業、運輸業である。




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