調査レポート
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景気動向調査
 平成12年4月  (平成12年4月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕4月の特色
◆ 季節要因で景況感下降。
◆ 低価格志向、競争激化が深刻。
  〔 2 〕4月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転4ポイント、悪化27ポイントでDI値はマイナス23ポイントとなり、前月のマイナス13ポイントに対し、10ポイントの悪化となっている。また、数値で見る前月との比較では、「悪化」の11ポイント増加、「不変」の12ポイント減少が大きな変化である。

 悪化の要因には季節要因があげられ、3月が季節需要等による売上増加が大きいことに対し、当月(4月)は、季節需要が弱まるための差によるものである。

 小売、サービス等の消費関連では、一部に需要の増加の動きが見られるが、総合すると、依然低調である。また、競争激化、低価格志向による低収益のため、景況感は改善していない。このため、季節需要による景況感マインドの改善効果は出ていない。

 業種別に前月の動向と比較すると、サービス業、機械・金属で下降が強く、また、他の業種でも、それぞれ若干の下降傾向が出ている。


 これらを総合すると、前月には季節要因による改善が見られたが、当月は季節需要が弱く、概ね、例年の傾向ではあるが、景況感が後退し、依然低迷を続けている。

 好転の業種は、自動車車体整備、高山旅館、クリーニングである。

 前月の動向と当月の動向とを比較したとき、後退の傾向が全般に見られ、前月悪化の大きい業種、好転のあった業種ともに後退していることが指摘される。

  主な業種区分の業況概況

食料品は、酒、米殻で売上減少となっているが、他は、概ね堅調な需要で売上増加業種が多い。
 しかし、低価格品志向、競争激化による低価格で、収益は一段と厳しくなっている。このため景況感の悪化傾向も強い。

繊維・同製品は、繊物等の川上業種で売上減少が多く、アパレル関係では、業種により売上動向が分かれている。アパレルでは、寒さが長引いたことにより、春物需要に影響が出ており、また、夏物需要ヘの影響が危惧されている。需要動向に季節要因による影響が出ているが、業況は依然低迷し、厳しい状況が続いている。

木材・木製品は、季節需要により家具で売上が増加、建築関係の木材等は前月横這いとなっている。家具においては、輸入品との競合が大きな課題で、季節要因を除外すると、依然低調な需要、業況の低迷となっている。
 建築関係も新築需要の低迷で、前月に続き需要の減少、業況の悪化となっている。


紙・紙加工品、印刷、プラスチックは、業況、動向が分かれている。家庭紙は安定的に堅調推移。紙加工品、印刷は前年割れの低迷推移。プラスチックは、前月に続き需要が増加している。 変化としては、プラスチックの業況好転があげられる。

窯業・土石は、陶磁器関係は低調横這い、建設資材関係は売上減少の傾向となっている。販売価格、収益状況等、全般に長期の低迷、悪化で、業況は悪化を続けている。その中で、耐火煉瓦が前月に続き売上増加となり、また、前年対比でも増加となっている。

機械・金属は、2月、3月に需要回復の動向が見られ、業況の回復が期待されたが、当月は前月横這い、景況感は悪化となっている。売上の前年対比では、約半数が前年割れとなっており、今後の推移が再び懸念される状況である。特に、受注単価は下降傾向にあり、一部受注が増えている業種・企業があるが、収益状況は反対に悪化の傾向にある。

各種物産品の内、ギフトは売上増加となっているが、組合の特殊要因によるもので、実質は減少である。このため、各種特産品は前月の季節要因による需要増加に対し、当月は売上減少となっている。

卸売業は、前月と全く同様で、陶磁器卸では前月に引き続き需要減少、消費節約、輸入品との競合等、マイナス要因が多く、業況が悪化している。飛騨地区総合卸は、特に変化が出ていない。

小売業は、季節変わり等の季節需要が前月に引き続き出ており、概ね前月並みの売上、業況で推移している。季節要因だけでなく、需要増加の動きが少し出ているとの見方が一部にあるが、その見方も弱く、依然消費需要は低迷を続けている。また、低価格志向、競争激化等の収益圧迫要因も強く、厳しい業況が続いている。

商店街では、売上動向が分かれているが、総合すると、前月比減少となっている。郊外大型店等による来街者の減少という根本的な問題により、前提として厳しい業況が続いており、景況感は前月、当月とも横這いとなっているが、厳しい業況が続いている。
 その中で、多治見商店街ではイベントと季節要因で売上を伸ばしている。

サービス業では、9回答のうち6回答が、前月比売上増加と多く、前月に引き続き売上増加となっている。特に、季節要因の影響が大きく、自動車関連サービス、旅館、クリーニング、飲食で売上増加となっている。収益状況、景況感にも好転の傾向が出ている。

建設業は、公共工事の発注、施工の端境期にあり、また民需の動きも悪く、売上受注の減少、収益状況の悪化となっている。しかし、季節要因によるものであり、景況感は前月横這いとなっている。新年度分の前倒し発注、年間通しての平準的な発注への要望が多く出ている。

運輸業では、動向が分かれ、岐阜地区は前月横這い、県域は前月比売上減少。業況悪化となっている。

  主な調査項目での動向
売上動向は、増加26ポイント、減少28ポイントでDI値はマイナス2ポイントとなり、前月のプラス34ポイントに対し、36ポイントの大幅な減少傾向となっている。
 3月の大きく、また幅広い業種のプラス季節要因に対し、4月は季節変わりを中心とする商業、サービス業に関する季節需要に限定される。
 季節要因を除外した場合、プラスチック等、一部業種に需要拡大の動きも見られるが、殆どの業種が長期低迷を続けており、回復を期待できる状況に至っていない。
 2月、3月、回復が期待された機械・金属も、当月は一服感が出ており、今後の推移に不安が出ている。
 売上増加業種が特に多いのはサービス、木材・木製品である。
 反対に、減少業種が特に多いのは、窯業・土石、繊維・同製品である。

受注動向は、増加20ポイント、減少28ポイントでDI値はマイナス8ポイントとなり、前月のプラス25ポイントに較べ、33ポイントの大幅な下降傾向となっている。
 減少要因には季節要因があげられ、公共工事発注、施工の端境期に入ったことが最も大きく、次いで、繊維・同製品の季節変動があげられる。
 一方、季節需要で増加となっているのは、家具、自動車関連、観光旅館等のサービスである。 他の業種は、概ね前月横這い、若しくは若干の減少傾向となっている。
 受注増加業種が多いのはサービス、減少業種が多いのは繊維・同製品、窯業・土石、建設である。

販売価格の動向は、上昇1ポイント、下降25ポイントで、DI値はマイナス24ポイントとなり、前月のマイナス10ポイントに較べ、14ポイントの大幅な下降傾向である。前月の前々月の改善に対し、急転の悪化となっている。
 下降業種が多いのは繊維・同製品、機械・金属、建設である。
 上昇となっているのは石油販売である。

収益状況の動向は、好転7ポイント、悪化27ポイントで、DI値はマイナス20ポイントとなり、前月のマイナス12ポイントに較べ、8ポイントの比較的大きな悪化傾向となっている。 季節要因による売上、受注の減少によるものであり、季節的な変動ではあるが、ベースに長期不況による低収益があるため、企業にとっては厳しいものとなっている。
 また、一部の業種に売上、受注の増加が見られているが、その業種においても受注単価の低迷で、収益の改善が見られない状況にある。
 収益悪化業種が多いのは食料品、建設、窯業・土石、卸売、繊維・同製品である。
 また、好転業種は季節需要があった家具である。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想は、好転予想5ポイント、悪化予想25ポイントで、DI値はマイナス20ポイントとなり、当月実績のマイナス23ポイントに較べ、3ポイントの改善予想となっている。
 当月実績との比較を個別の業種で見ると、改善が見られるのは食料品、繊維・同製品で、悪化が見られるのは機械・金属、商店街、建設である。
 機械・金属を除いた場合、季節要因によるものが多く、景況としては若干の下降となるものと予想される。
このため、長期不況に加えて下降するものであり、一段と景況感が冷え込むものと考えられる。
 好転予想業種は、豆腐、米菓、家電機器販売、自動車車体整備である。
 悪化予想業種割合が多いのは、機械・金属、商店街、建設である。DI値がプラスの好転予想は、サービス業だけである。

売上動向予想は、増加予想12ポイント、減少予想26ポイントで、DI値はマイナス14ポイントで、当月実績マイナス2ポイントに対し、12ポイントの減少傾向予想になっている。
 減少要因には、4月の季節需要が無くなること、5月の連休による営業日数の減少等の季節要因があげられ、一方、増加要因にも季節需要があげられている。
 前年の同月の傾向に較べれば、減少傾向が小さくなっているが、傾向は同じであり、動向は季節要因の影響によるものとなっている。
 懸念されるのは、景気動向の指標と言える機械・金属が2月、3月の回復の動きから、停滞の状態に入る予想になっていることである。
 売上増加予想業種が多いのは食料品、サービス業で、減少予想が多いのは窯業・土石、建設、商店街である。

収益動向予想は、好転予想5ポイント、悪化予想27ポイントで、DI値はマイナス22ポイントとなり、当月実績のマイナス20ポイントに対し、2ポイントの悪化傾向予想となっている。
 売上動向の減少予想に較べた場合、減少幅が小さいものとなっている。その要因には、売上減少が季節要因によることが大きいものと推測される。
 マイナス30ポイント台が続いた後に、20ポイント台レベルとなり、さらに向こう3ヵ月も20ポイント台が予想され、動向判断が難しい状況が続いている。
 長期の厳しい収益状況にあり、企業経営は益々厳しいものになっていると考えられる。
 悪化予想業種が特に多いのは建設、窯業・土石である。
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