調査レポート
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景気動向調査
 平成11年9月  (平成11年9月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕9月の特色
◆ 景況感DI値マイナス13ポイントに上昇、底固めが続く。
◆ 季節需要、天候不順で低調。
◆ 機械・金属に動きが出る。
  〔 2 〕9月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転6ポイント、悪化19ポイントで、DI値はマイナス13ポイントとなり、前月のマイナス25ポイントに対し、12ポイントの大幅な改善となった。7月、8月のマイナス20ポイント台に続いて、マイナス10ポイント台に昇り、景気の底固めが進んでいる動きとなっている。

 例年9月は、前月の夏期休業による営業日数の減少及び食品、衣料品の需要の少ない8月の反動と、秋冬物需要、公共工事の本格化等により、売上が前月比大きく増加する時期にあたる。

 当月もアパレル等、季節需要による売上増が見られたが、高温、多雨、水害により、売上が伸び悩み、特に飛騨地区等は水害の影響で観光客の激減があり、関係業種の売上は反対に減少している。このため、季節要因の影響はあったものの、低い水準で推移した。

 その他では、木材を中心に住宅関連需要、情報サービスの堅調が続き、また、低迷が続いていた機械・金属に動きが出始めたことが、好材料として指摘できる。

 しかし、他の業種は依然低迷、前年割れが続き、総合するとまだまだ厳しい業況となっている。

 特に、機械・金属では受注が出て来ても単価が厳しい。住宅着工件数はでているが、地元建築業の受注は少ないなど、表面の数字に表れていない厳しい業況の中にあり、企業マインドを引き上げるまでには至っていない。

 景況感がプラス値になっているのは木材・木製品、建設業で、DI値±0は機械・金属、サービス業、運輸業である。
  主な業種区分の業況概況

食料品は、前月の不需要期に対して売上・受注の増加傾向にある。しかし、高温、多雨等の天候不順により、その伸びは弱く、前年に対して減少となっている業種が多い。販売条件の悪化も見られ、収益状況、資金繰りの悪化傾向が強い。

繊維・同製品は、秋物出荷でアパレルの売上増が見られるが、他は売上減少で低迷が続いている。アパレルにおいても伸びが十分ではなく、業況の改善には至っていない。総合すると、依然業況悪化が続いていることとなる。

木材・木製品のの住宅建築関係は引き続き堅調が続いている。国産材、銘木では低調となっているが、他は業況が改善し、全体としての業況が好転の傾向となっている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックは、全般前月比の変化が少なく、前月比横這いの推移となっている。プラスチックの食品用は堅調、家庭紙は安定、他は低迷となっている。

窯業・土石の陶磁器関係は、一層の不振となっており、厳しい業況にある。その中でもモザイクタイルは季節要因も加わり、受注の増加が一部に出て来ている。建設資材関係は生コンクリート、砂利が前月比売上減少、砕石は増加となっている。前月に引き続き、厳しい業況であるため景気対策要望が強い。

機械・金属は、前月の底打ち傾向に続き、当月は若干の改善傾向が出て来ている。しかし、受注単価が低く、まだ収益に悪化が残り、景況感の改善には至っていない。

各種物産品のギフト関係は、季節要因で前月比売上増、しかし、前年対比は大幅減少。観光物では前月比、前年対比ともに売上減少となり、厳しい業況となっている。

卸売業の陶磁器卸は更に業況悪化、飛騨地区の総合卸では概ね横這いとなっている。

小売業は、季節要因で需要が出る時期に当たるが、当月は前月横這いで低調な業況が続いた。高温、多雨、台風の天候不順が大きなマイナス要因となっている。

商店街は、概ね小売業の動向に似ているが、若干、前月比売上増の傾向が出ている。しかし、例年に較べ低調で、特に婦人衣料等が弱いという傾向が出ており、消費需要の回復感は無く、景況感も改善していない。

サービス業の情報サービスは堅調が続いていたが、他は依然低迷が続いている。当月の特記事項としては、高山地区の旅館が台風等による道路損壊で多くのキャンセルが出たこと、岐阜長良川畔で大きなイベントで宿泊数の増加があったことがあげられる。

建設業は、公共工事の本格化、住宅建築着工の増加により、売上、受注の増加が出て来た。しかし、地域差があるが、公共工事発注量の不足、住宅建築が大手ハウスメーカーに流れ、地元工事業者に仕事が流れていない傾向が強いため、受注競争が激化、受注単価の下降、取引条件の悪化傾向が強い。

運輸業では、前月横這い、低迷が続いている。

  主な調査項目での動向
売上動向は、増加34ポイント、減少17ポイントで、DI値はプラス17ポイントとなり、前月のマイナス17ポイントに対し、34ポイントの大幅な好転である。その要因は、季節需要による売上増加が最も大きい。他の要因には、住宅関連需要の好調、機械・金属の需要回復の動き、情報サービス需要の堅調があげられる。
 当月の季節需要は、天候不順により伸び悩み、また、前年割れが多く、景況感を改善させるほどの力は無く、低調で推移している。
 売上増加業種が特に多いのは木材・木製品、機械・金属、建設業、商店街、窯業・土石である。
 売上減少業種が多いのは繊維・同製品、卸売業である。

受注動向は、増加26ポイント、減少15ポイントで、DI値はプラス11ポイントとなり、前月のマイナス18ポイントに対し、29ポイントの大幅な改善である。要因及び傾向としては、概ね売上動向と同様である。売上増加傾向にある業種の動きが、受注では平均的に1ランク下がった数値となっている。特に増加業種の割合が大きいのは木材・木製品、機械・金属、運輸業である。

販売価格の動向は、上昇9ポイント、下降12ポイントで、DI値はマイナス3ポイントとなり、前月のマイナス17ポイントに対し、14ポイントの大幅な改善であるとともに、近年にない好数値となっている。
 モニターのコメントで販売不振、競争激化による価格の下降の指摘が多いことから推測すると、業種間の業況格差が出て来たこと、下降が底打ちになってきたことが考えられる。
 長期間、低価格と闘ってきた企業心理としては、上昇感、下げ止まり感が感じられないが、実態としては下げ止まりを示す数値となっている。
 上昇傾向が見られるのは木材・木製品、小売業、商店街、反対に下降傾向が強いのは繊維・同製品、鉄鋼・金属、建設業である。

収益状況の動向は、好転5ポイント、悪化23ポイントで、DI値はマイナス18ポイントとなり、前月のマイナス28ポイントに対し、10ポイントの大幅な改善となっている。本年1月のマイナス56ポイントから同4月のマイナス18ポイントへの回復、そして本年5月のマイナス40ポイントから当月のマイナス18ポイントへの回復の波となっており、前回の波のような急降下が起きないことが期待される。
 好転が明らかに出ている業種区分は無いため、若干力弱さが感じられる。
 依然、悪化傾向が強いのは食料品、各種物産品、機械・金属である。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想は、好転予想9ポイント、悪化予想18ポイントで、DI値はマイナス9ポイントとなり、当月実績のマイナス13ポイントに対し、4ポイントの改善予想となっている。

 当月及び来月(10月)は、年間で3月と並び需要が旺盛な月に当たり、季節要因による改善の予想となっているものと考えられる。特に、天候不順により当月不振であった秋服、商店街の需要が10月に持ち越すことへの期待が含まれているものと予想される。

 他は概ね当月実績と同様の動向予想で、木材・木製品、サービス業の堅調、機械・金属の底打ち等の好材料、全般的な低価格傾向などがあげられる。

 好転予想になっているのは木材・木製品、サービス業、小売業、建設業、DI値±0は機械・金属、運輸業である。

売上動向予想は、増加予想28ポイント、減少予想10ポイントで、DI値はプラス18ポイントとなり、当月実績のプラス17ポイントとほぼ同じ水準で売上増加が続く予想となっている。
 増加予想の要因には、堅調な住宅関連需要もあるが、秋冬衣料、観光等の季節要因が大きい。特に当月(9月)の秋物衣料不振が、10月に遅咲きで出て来ることへの期待も含めている。
 DI値がプラス値で、増加予想が多いのは食料品、木材・木製品、小売業、商店街、サービス業、建設業である。


収益動向予想は、好転予想7ポイント、悪化予想19ポイントで、DI値はマイナス12ポイントとなり、当月実績のマイナス18ポイントに対し、6ポイントの堅実な改善となっており、改善度合は低いが、売上増加予想と連動した予想になっている。全く連動していないのは、低価格が続いている食料品である。
 好転予想が、悪化予想を上回っているのは木材・木製品、小売業である。悪化予想が特に多いのは食料品、機械・金属、繊維・同製品である。

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